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「ロコさんがいたから強くなれた」4度目の五輪挑戦、代表決定戦に懸けたカーリング・吉村紗也香が惜敗直後に見せた表情とは 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2021/09/19 11:03

「ロコさんがいたから強くなれた」4度目の五輪挑戦、代表決定戦に懸けたカーリング・吉村紗也香が惜敗直後に見せた表情とは<Number Web> photograph by JCA IDE

ロコ・ソラーレの藤澤五月とは同じ北海道出身で同学年の吉村。代表決定戦に挑んだ他の7人と異なり、吉村にとっては初の五輪を目指した戦いだった

「オリンピックは高校生の頃から目指してきた舞台です。あと、1つ、2つ山を越えればそこにたどり着くところまで来ました。このチャンスを、しっかりつかみとりたいです」

 吉村にとっては、4度目となるオリンピック出場への挑戦だった。

 2010年バンクーバー五輪日本代表決定戦の際は、常呂高校のスキップとしてチーム青森との代表決定戦に臨む権利をかけてチーム長野と戦った。2014年ソチ五輪の世界最終予選出場チーム決定戦には札幌国際大学で挑んだ。ただ、大舞台には届かなかった。

 その後、北海道銀行に進む。

「競技を続ける上で、やっぱり最大の目標ですからオリンピックには出たい。それが最大の理由でした」

 もともとは大学生になってまでカーリングをしていると思っていなかったと言う。続けてきたのは、成績を残し階段を上がるにつれ、「もっと大きな舞台を目指したいという思いが芽生えたからだと思います」。オリンピックが競技を続けた原動力であり、その舞台が胸にあった。

「あと一歩」から抜け出すために

 だが、2018年平昌五輪日本代表決定戦には進出できなかった。その平昌の地には自ら足を運び、会場で観戦した。オリンピックへの思いを強める機会ともなった。

 北海道銀行のスキップとなった2018-2019シーズンから、リード船山弓枝、セカンド近江谷杏菜、サード小野寺佳歩という布陣を組み、日本選手権では2019年、2020年ともに3位。世界選手権代表には届かなかった。

 チームとして、「あと一歩」から抜け出そうと模索した。大きな変化の軸となったのは、フィジカルの向上と、メンタルの強化だった。男子選手も着目するほどフィジカルを高め、メンタル面では2020年10月に日本ハムファイターズで選手として活躍し、同球団などでコーチなどを務めた白井一幸をメンタルコーチに迎え、強化を図ってきた。

【次ページ】 ライバルからの賛辞

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