裏を取られてもスピードでカバーし、188センチの身長を生かして空中戦でもことごとく競り勝った。

　また、デュエルに勝ってボールを奪い、シンプルに縦にパスをつけるプレーも攻守両方でチームを活性化していた。ロングボールの処理を誤った場面が1度だけあったが、FWツォリスに突破されたり、右サイドを崩される場面はほぼなく、サイドバックとしての仕事をほぼパーフェクトにこなした。

　だからこそ、目の肥えたアーセナルのサポーターたちも、交代でベンチに退く冨安をスタンディングオベーションで迎えたのだ。アーセナルの番記者でさえ、今回のノリッチ戦まで冨安の実際のプレーを知っている者はほとんどいなかったが、挨拶代わりの好パフォーマンスで1-0の完封勝利に貢献した。

目の肥えたグーナーも冨安のクオリティの高さを認めたようだ　©Getty Images

アルテタ監督「喜びと幸せ、エネルギーを感じた」

　試合後、アルテタ監督は冨安について次のように語った。

「（プレーは）本当にポジティブだった。トミの第一印象も、喜びと幸せ、良いエネルギーを感じた。ピッチに入ると本当に集中し、決意に満ちていた。自身の役割もよく理解していた。後半17分の交代？ （足に）けいれんを起こしていた。我々と1日半だけしか練習していない。また、（日本代表戦で）長距離移動もあった。デビュー戦で気持ちも高ぶっていたから、交代させる必要があった」

交代時、アルテタ監督と抱き合う冨安　©Getty Images

　普段スペイン人指揮官は表情をあまり変えることなく、記者の質問に淡々と答えていくが、冨安について話し始めると口元が緩み、時折柔和な笑顔を見せていた。新加入の冨安のパフォーマンスに確かな手応えと満足感を抱いているのは明らかだった。

　冨安に大きな期待を寄せているのは、アルテタ監督やサポーターだけではない。クラブOBで現在は解説者を務めるエイドリアン・クラーク氏も次のように話す。

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