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「悔しさが一番のモチベーションに」…桐生祥秀に細かく聞いた「どうして“100m9秒台”で走れたのか?」 

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林田順子

林田順子Junko Hayashida

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2021/09/09 11:00

「悔しさが一番のモチベーションに」…桐生祥秀に細かく聞いた「どうして“100m9秒台”で走れたのか?」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

日本人初の100m9秒台を記録し、2017年の「Number MVP」を受賞した桐生

悔しさが一番のモチベーションになりました

「そうですね。悔しさが一番のモチベーションになりました。好調のときはいやなことも考えないし、練習も弱っているときのほうがしっかりやると思います。ただ、誰でも好不調の振り幅はあって、日本選手権に集中していたらもっと早く9秒台が出たかもしれないし、それでも今シーズンは出なかったかもしれないし……。何がよかったのかは僕自身にも正直分かりません」

――高3での10秒01からずっと「目指せ9秒台」と騒がれ続けてきましたが、その間プレッシャーや焦りはありましたか?

「なかったです。そもそも僕は、出場する全ての大会で9秒台を狙ってはいないんです。半分以上のレースは勝つこと、1番を目指していました。例えば、関東インカレなども、タイムは気にしていなくて、優勝できればよかったんです。ただ、僕は優勝して満足していてもメディアは“9秒台ならず”“桐生残念”と報じます。その温度差がしんどいときはありました。だいたい“何で(9秒台が)出なかったの?”って聞かれても、ねえ……。そもそもどのレースも準備や条件が同じことってありませんから(笑)」

――このままじゃ自分は9秒台が出せないかも、と思ったことはありましたか?

“いつかできる”って思ってました

「それは一度もないですね。高校3年で10秒01を出したときから“いつかできる”って思ってました。ただ、やっぱり一番最初に出したかった。高校の先生にも“絶対に一番に出せ”って言われてました。名前も残るし、セカンドキャリアも全然違ってくるからって(笑)。とはいえ、結局10秒01からは1500日以上もかかったから、やっぱり“壁”はあったんでしょうね。こういう記録って1回誰かが破るとどんどん更新されていくんです。高校生の男子4×100mリレーも、一度40秒台を切ったらすぐ39秒台が当たり前になった。だからこれからは他の選手も9秒台をバンバン出すようになる。僕の日本記録もすぐに抜かれると思っています」

――ただ、これでタイムのことを言われずに走れますね。

「そうですね。それに仲間内では“来年から陸上の記事はどう変わるのか?”って話してるんです。この前までは誰であろうととにかく9秒台が出るかどうかが一番のトピックだったのが、来年は誰が勝つかという話になるのか、記録更新を追いかける流れになるのか……楽しみだし、頑張りたいところです」

――今後の目標を聞かせてください。

【次ページ】 9秒8台という大きな目標を目指して

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