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《南米2強が激怒・批判》メッシ「なぜもっと前に…」 ネイマールも呆れた“ブラジルvsアルゼンチン9分で中止騒動”が奇怪すぎ
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2021/09/09 06:00
ブラジルvsアルゼンチンというW杯予選屈指の好カードが9分で打ち切りの非常事態。現時点では試合の処遇は決まっていない
午後4時、アルゼンチンのキックオフで試合が始まった。この南米を代表する両フットボール超大国は、特別なライバル関係にある。中盤での激しい競り合いが続き、両チームとも決定機を作るには至らない。
すると突然、強面の警察とともに国家の衛生監督局が
すると4分過ぎ、タッチラインの中央付近に、背中に「ANVISA」(ブラジル国家衛生監督局)と書かれた白いベストを着た男がブラジル連邦警察の強面の男たちを従えて現われ、マッチコミッショナーに何かを告げている。
4分50秒頃、その騒ぎが大きくなり、これに気付いた主審が試合を止めた。
ANVISAの男は、なおもマッチコミッショナーと激しく言い争っている。
6分過ぎ、ANVISAの男とブラジル連邦警察がピッチに足を踏み入れる。アルゼンチン選手ともみ合いになり、ブラジル選手も集まってきた。
この時点で、もはやフットボールの試合ではなくなった。メッシが、ネイマールが、カゼミーロが、ANVISAの男たちと口論を繰り広げる。
9分過ぎ、主審が試合の中止を決定。アルゼンチン選手たちがピッチを去り、ロッカールームへ引き揚げる。一方、ブラジル選手はピッチに留まった。
ネイマールらは引き続き、ANVISAの男たちと話し続ける。アルゼンチン代表のリオネル・スカローニ監督も出てきて、ブラジル代表のチッチ監督、ネイマール、CBマルキーニョス(パリ・サンジェルマン)らと話をしている。
メッシやアルゼンチン監督の言い分とは
メッシの言い分は、「我々(アルゼンチン代表の一行)は、もう3日前からここ(サンパウロ)にいる。このような問題があるなら、なぜもっと前に知らせて解決しなかったのか」。スカローニ監督も「本当に残念だ。彼ら(プレミアリーグでプレーする4選手)がプレーできないとは、誰からも聞いていなかった」と不快感を露わにした。
仮にスカローニ監督が問題の3選手を交替させていたら試合を続けることはできたはずだが、「私は自分の選手たちを守らなければならない。3人を交替させる選択肢はなかった」と語った。
午後6時、アルゼンチン代表の一行はバスでスタジアムを出てホテルへ戻って荷造りをした。そして夜、ブエノスアイレスへ向けて飛び立った。
何とも奇怪な出来事で、誰に落ち度があったのか、なかなかわかりにくい。