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C・ロナウド、マンU復帰の舞台ウラ… “御大からの携帯着信”と「サー・アレックス、あなたのためにも」〈詳細レポート〉
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2021/09/04 17:02
マンチェスター・ユナイテッドの一員に再びなったC・ロナウド。彼の復帰の詳細とは?
業を煮やした「サー・アレックス」が宿敵への移籍を阻止
シティとユベントスの交渉が停滞していたとき、マンチェスター・ユナイテッドが動きはじめた。とくにアレックス・ファーガソン元監督が、積極的に関わってきたといわれている。C・ロナウドがマドリーに去った09年以降も、彼らは良好な関係を維持してきた。
「ユナイテッドに戻ってくる気はないのか」
シティ移籍を阻止するため、ファーガソンはC・ロナウドの携帯電話を鳴らしたようだ。
ピーター・シュマイケルやアンディ・コール、オーウェン・ハーグリーブスなど、ユナイテッドとシティの両チームでプレーした選手は何人かいる。しかし、特大の存在感があったわけではない。
ユナイテッドを離れて12年が過ぎていても、C・ロナウドのようなアイコンがローカルライバル間で移籍するのはご法度だ。2000年の夏、ルイス・フィーゴがバルセロナ→マドリーというタブーを犯したとき、豚の首がピッチに投げ入れられるほど、クラシコは凄惨なムードだった。C・ロナウドがシティに移籍していれば、マンチェスター・ダービーは殺伐すぎる雰囲気のなかで行われたに違いない。
スーパースターとはいえベテランとの契約にはリスクも
大恩のあるファーガソンの説得は効果的だった。C・ロナウドはすぐさまユナイテッド復帰を決意。移籍金はボーナスを含む最大2300万ユーロ(約30億円)で、ユベントスとユナイテッドは合意に至ったと伝えられている。
こうして、世界中を驚かせる移籍が決定した。ユナイテッドの合計時価総額は一時的に2億5000万ドル(約275億円)も増加し、公式インスタグラムのフォロワー数も100万人も増加。アクセスが集中した公式ホームページはサーバーがダウンするなど、C・ロナウド効果はいやはや凄まじい。
「長期的な展望に則った補強ではない」
リバプールのユルゲン・クロップ監督は、C・ロナウドの獲得に懐疑的だった。たしかにそのとおりだ。不世出のスーパースターとはいえ、36歳のベテランとの契約には少なからぬ疑問と不安が湧いてくる。