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野茂英雄が大谷翔平の“二刀流”を「応援しているんです」と語っていた理由…自身の高校時代は「プロは絶対無理やわ」と危機感を抱いていた
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byKazukiaki Nshiyama
posted2021/08/31 11:04
8月31日で53歳となった野茂英雄。MLBの舞台で堂々と投げるマウンドでの姿は日本の野球界に大きな影響を与えた
<名言4>
ヒデオは日本人にとってのジャッキー・ロビンソンだ。
(トミー・ラソーダ/Number877号 2015年5月7日発売)
◇解説◇
2021年1月7日に亡くなったトミー・ラソーダさん(享年93歳、元ロサンゼルス・ドジャース監督)。
近鉄との契約がこじれ、徒手空拳でメジャーの舞台に挑んできた野茂をチームへ迎え入れたことで、野茂にとっても“アメリカの父”とも言える大きな存在だった(日本製品のCMにも出演していたほど、国内でも人気を博した)。
1995年のMLBデビューイヤーからアジア人史上初の新人王、そして最多奪三振数の個人タイトルを獲得。翌年には強者たちが揃うMLBの舞台でノーヒットノーランという偉業も打ち立てた。12年間で挙げた白星は123を数える。
だが、ラソーダさんはその数字以上に道を切り拓いたことへの賞賛を惜しまない。近代MLB初のアフリカ系アメリカ人選手となったジャッキー・ロビンソンの名前を挙げて、“息子”の活躍を喜んだ。
「ヒデオは日本人にとってのジャッキー・ロビンソンだ。彼がパイオニアとして成功しなかったら、日本人は自国の選手がメジャーで通用しないと思っていたはずだ」
2017年WBC準決勝アメリカvs.日本、ラソーダさんは野茂とともにかつて共に戦ったドジャー・スタジアムを訪れ、始球式に登場した。2人は本当の“親子”のように寄り添い合っていた。
「エラそうにしとけよ」
<名言5>
マウンドではいつでも堂々と胸張って、エラそうにな。
(野茂英雄/Number564号 2002年12月5日発売)
◇解説◇
小中学生を対象とした野球教室で野茂が放ったひと言だ。
この日、楽しそうに白球を追う少年たちに「エラそうにな、エラそうにしとけよ」と立ち振る舞いについて繰り返し説いていた。
「ピッチャーはマウンドを任されてる。それが自信なさそうにしてたらどう思う? みんな、やる気をなくしてしまうやろ?」
近鉄に入団したルーキー時代から、そしてMLBという世界最高峰の舞台であっても、憎らしいほど堂々したマウンド姿が印象的だった野茂。その裏には投手としての矜持があった。