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C・ロナウド36歳《マンCではなくマンU電撃復帰》に4人のキーマン… 口説き文句は「嘘に決まっているよな?」
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byTakuya Sugiyama
posted2021/08/29 11:03
クリスティアーノ・ロナウドが、赤い悪魔に戻ってくる。その決定的な役割を果たした人物とは?
「サー・アレックス・ファーガソンは(自分と)まったく同じ気持ちで、クリスティアーノがマン・シティのシャツを着ることに我慢がならなかった。それはこのクラブに長く携わった者に共通する心境だ。だから私はすぐに(ロナウドに)電話をかけた。一体、何が起こっているんだ? 嘘に決まっているよな? と」
そんな風にファーディナンドは、イングランド随一の名門クラブを代表して、熱を込めてロナウドを口説いた。もし君がシティに行けば、これまでに築いた大切な人々との関係が壊れてしまいかねない。そして逆にユナイテッドに戻って来れば、君を待つ多くの人々に大歓迎される、と。
「憧れの」ロナウドに“直電”したのは……
そして今のユナイテッドの主軸であり、ポルトガル代表におけるロナウドのチームメイトでもあるブルーノ・フェルナンデスも、「憧れの人」に直接電話をして一緒にプレーしようと語りかけたという。
その証拠に、移籍が決まった後、彼は自身のSNSに「ブルーノ代理人?」と自らが果たした役割を暗示するような投稿をしている。
恩師や友人たちにここまで説得されたら、ロナウドの胸は次第に赤く染まっていったに違いない。ポルトガル人は概して、情に脆い心優しい人々だ。だから、ロナウドもフェルナンデスも、時々人前で涙を流すのだろう。そして彼らの同胞でCR7の代理人メンデスも、きっと冷徹なビジネスマンではない。
現在36歳のスーパースターが2018年夏から所属するユベントスで、幸せな日々を送っていないことは明らかだったという。クラブ側も、手取りで約40億円もの年俸を払い続けることが困難になっていたようだ(ユベントスのオーナーが欧州スーパーリーグ構想を推し進めた要因のひとつだと言われている)。
ユーべとシティの言い分にも大きな隔たりが
当初はとにかくその高額な年俸を捻出できるクラブにと考え、シティと話し合いをしていたが、シティ側も30代後半のベテランにそこまでの待遇はできないと考えていた。またユベントスとシティの言い分にも、大きな隔たりがあったという。
そんな時に、ユナイテッドの現指揮官やかつての名監督から連絡を受けたメンデスは、ロナウド自身の気持ちが古巣に傾いていることも察し、フロントとすぐに口頭で仮契約を締結。直後にユベントスとユナイテッドの橋渡しをして、最終的に推定総額29億9000万円の移籍金で話をまとめた。
「この24時間に起こったことを表現するなら、ワオ! その一言だ」とファーディナンドは自身のSNSで語った。「最高の移籍」を祝福するようにシャンパンを片手にしながら、彼はこう続けた。