結局、体調が整わないという理由でサイレントハピネスはオークスを回避して休養に入った。そして、秋初戦のクイーンSではプラス20キロの体重で出走し11着に敗れたが、これを叩かれた事で続くローズSは快勝してみせるのだった。

数字が物語る、藤沢和雄の競馬哲学

　休み明けながら体重を減らしてきたサイレントハピネスと、使われているのに体を増やして来たエポワス。一見、正反対に思える2つの事象だが、藤沢和調教師は常日頃からどちらにも共通して通じる言葉を発している。

「数字にとらわれ過ぎて、体重を絞れば良いというものではありません。ちゃんと食べさせて、しっかり調教をして、その上で増えるなら問題ありません。いや、問題ないどころか、むしろ理想でしょう。だって、きっちり実になっているという事ですからね」

　ちなみに今年はここまで18勝を挙げている藤沢和厩舎だが、そのうち前走比マイナス体重で勝利したのは5頭のみ。プラス26キロで勝ったルナシオンやプラス12キロで快勝したラペルーズ、10キロ増で優勝したシハーブら体を増やした上で勝利している馬が目立つ。残念ながら来年の2月には定年を迎える藤沢和調教師だが、その信念は最後まで変わらないとこれらの数字が物語っている。

来年定年を迎える藤沢和雄調教師