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〈ブンデス現地取材〉“ワクチン接種者優先”で大声援・ビール・3密が復活… 長谷部誠と鎌田大地のフランクフルトが厳しい船出の理由
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2021/08/28 17:00
ドイツ杯1回戦で敗れ、リーグ戦開幕2試合で1分け1敗。フランクフルトはチームを立て直せるか
屋台でビールが飛ぶように売れて、完全な3密だが
スタジアムの外周には多くの屋台が出て、ビールが飛ぶように売れ、ソーセージパンを頬張る方々が多数見られました。完全な『3密』なのですが、ここを訪れる方々は総じて楽観的な風情を漂わせていました。
とはいえ、当然ながら飲食のとき以外は医療用マスクの着用が義務づけられています。ただし、座席ではマスクを外してもいいルールで、味方、もしくは敵に対して放つ大声援、大ブーイングもかなり自由に発せられていました。
このあたりは日本人である僕には理解し難いのですが、その結果、約半数に制限された観客数であってもスタジアムを轟かすサポーターの声はコロナ禍前と同様に、荘厳に鳴り響いたのでした。
いやー、何が凄いって、試合前の選手紹介、そしてクラブソング斉唱時の大轟音ですよ。記者席上段でそれを眺める僕は厳重にマスクで防備して縮こまるばかり。試合が始まると会場は一層ヒートアップ。アイントラハトの素早いカウンターが炸裂すると「ダーッ!」とばかりに絶叫音が響き、敵がファウルを犯せば壮絶なブーイングが飛び交います。あっ、記述が遅れましたが、今節のアイントラハトの対戦相手はFCアウクスブルクです。
昨季5位もチーム得点王が移籍、カップ戦で3部に敗戦
そんななか、今季からオリバー・グラスナー監督体制となったアイントラハトはチーム構築になかなか難儀している様子です。
昨季のアイントラハトは最終盤で失速してチャンピオンズリーグ出場権を逃しましたが、それでもヨーロッパリーグ本戦へストレートインできる5位入線と大躍進。しかし、そのチームを作り上げたアディ・ヒュッター監督がボルシアMGへ移籍し、チーム得点王だったFWアンドレ・シウバがRBライプツィヒへ個人昇格。また、近年のチーム強化に寄与したフレディ・ボビッチSD(スポーツ・ディレクター)がヘルタ・ベルリン競技部門取締役へ転身するなど、劇的な転換期を迎えています。
アイントラハトの今季公式戦初戦となったDFBポカール(ドイツカップ戦)はブンデスリーガ3部のSVヴァルトホーフ・マンハイムになんと0-2で敗戦。DFBポカールの初戦は下部カテゴリークラブのホーム開催とはいえ、内容でも完敗したアイントラハトの新たな船出の上空には、どんよりとした暗雲が漂っていました。