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“人種差別バナナ投げつけ事件”にも何食わぬ顔で… ダニエウ・アウベス38歳のタフすぎるメンタルと最強SB伝説 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2021/08/29 17:01

“人種差別バナナ投げつけ事件”にも何食わぬ顔で… ダニエウ・アウベス38歳のタフすぎるメンタルと最強SB伝説<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

バルサ時代とセレソンでのダニエウ・アウベス。サイドバックの概念を大きく進化させた人物の1人だ

投げつけられたバナナを平然と……

 ビジャレアルとのアウェーゲームで、地元サポーターからバナナを投げつけられたのである。この人種差別的な振る舞いにも、ダニエウは何食わぬ顔でバナナを食べ、平然とプレーを続けた。

 試合後、「僕はスペインで12年近くプレーしているが、時折、こんな馬鹿げたことが起きる。そんなとき、僕はまともには取り合わない。笑ってやり過ごすんだ」と語った。

 なお数日後、このサポーターは逮捕され、ビジャレアルは1万2000ユーロ(約154万円)の罰金を科せられた。

 アウベスとバルサは2014-15シーズン、再び欧州CL、スペインリーグ、スペイン国王杯の三冠を達成。2015-16シーズンも、スペインリーグとスペイン国王杯の二冠を手にし、2016年6月末で退団。イタリアの名門ユベントスと2年契約を結んだ。

 8シーズンに及んだバルセロナ時代について、ダニエウは「世界フットボール史上、最高のチームでプレーできた。毎日、とても楽しかったし、この上なく幸せだった」と語っている。

母国のW杯での失意、ネイマールとの再会

 母国で開催された2014年W杯に招集され、ラウンド16までの4試合は先発フル出場した。しかし、体調不良から本来のプレーができず、準々決勝からマイコン(当時ローマ)にポジションを奪われた。セレソンは、準決勝でドイツに1-7という歴史的な大敗。ダニエウは、ピッチに立つことすらできなかった。

 ユベントスでは、欧州CLの準々決勝で古巣のバルセロナと対戦。かつてのチームメイトであるネイマールにほとんど仕事をさせなかった。準決勝モナコ戦でも2試合で1得点3アシストと活躍したが、決勝でレアル・マドリーに1-4と完敗した。

 このシーズンは、イタリア・セリエAとイタリア杯の二冠を達成。しかし、イタリアでは1シーズンを過ごしただけで、2017年夏、パリ・サンジェルマン(PSG)へ移籍した。その理由について、ダニエウは「当時はバルセロナでの日々が忘れられず、イタリアでの生活とプレーを楽しめなかったから」と説明している。

 PSGでは、ネイマール、CBチアゴ・シウバ、CBマルキーニョスらセレソンのチームメイトと再会した。

 最初のシーズンに、フランスリーグ、フランス杯、フランス・リーグ杯で優勝。ただし、欧州CLではラウンド16でレアル・マドリーに屈した。

 そしてこのシーズン、キャリア最悪の故障をしてしまう。

【次ページ】 名門サンパウロで「サイドバックのナンバー10」に

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