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“人種差別バナナ投げつけ事件”にも何食わぬ顔で… ダニエウ・アウベス38歳のタフすぎるメンタルと最強SB伝説

posted2021/08/29 17:01

 
“人種差別バナナ投げつけ事件”にも何食わぬ顔で… ダニエウ・アウベス38歳のタフすぎるメンタルと最強SB伝説<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

バルサ時代とセレソンでのダニエウ・アウベス。サイドバックの概念を大きく進化させた人物の1人だ

text by

沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

PROFILE

photograph by

Takuya Sugiyama

サッカー史に残る名サイドバックのダニエウ・アウベス。38歳の今もなおサイドラインを駆け抜ける名手のルーツを追った(全2回/前編は関連記事からご覧になれます)

 2001年11月、ダニエウ・アウベスは18歳6カ月でブラジルの中堅クラブ、バイアからデビュー。たちまちレギュラーとなり、将来性豊かな若手右SBとして注目を集めた。多くの国内ビッグクラブと欧州クラブが興味を示したが、2002年7月、ダニエウはスペインの中堅クラブ、セビージャへまず期限付き移籍した。

 当初はU-20でプレーしながら、スペインでの生活とプレースタイルに適応していく。クラブ首脳が彼の才能を高く評価し、2013年1月、移籍金55万ユーロ(約7100万円)で完全移籍させた。2月下旬のスペインリーグの試合でデビュー。翌2003~04シーズンには、リーグとスペイン国王杯を合わせて36試合に出場して2得点をあげた。

ワールドユースでは日本、イニエスタらに勝利

 2003年末、U-20ブラジル代表に招集され、UAEで開催されたワールドユース(現在のU-20W杯)に出場する。

 グループステージを勝ち上がり、準々決勝でFW平山相太(当時国見高)、MF今野泰幸(当時コンサドーレ札幌、現ジュビロ磐田)、GK川島永嗣(当時大宮アルディージャ、現ストラスブール)らを擁するU-20日本に5-1と大勝。決勝では、MFアンドレス・イニエスタ(当時バルセロナ、現ヴィッセル神戸)、FWセルヒオ・ガルシア(当時バルセロナ、現モンタニェーサ=スペイン3部)らのスペインを1対0で下して優勝した。

 これが、カナリア色のユニフォームをまとって手にした最初のタイトルだった。「同世代の世界最高の選手が集まるこの大会で優勝できたことは、以後、大きな自信となった」と語っている。

 2004-05シーズン以降は、セビージャの主力選手に成長。2005-06シーズンにUEFAカップ(現在のヨーロッパリーグ)で大活躍して大会MVPに選ばれ、優勝に貢献した。2006-07シーズンにはUEFAカップ連覇を成し遂げ、スペイン国王杯と合わせて二冠を達成した。

 2006年10月にはセレソン(ブラジル代表)に初招集され、クウェート選抜との強化試合に出場した。父親は、「U-20ワールドユースで優勝して以来、本人も我々家族も、セレソン招集を期待していた。吉報を受け取ると、家族全員が抱き合い、涙を流して喜んだ」と語っている。

【次ページ】 バルサ移籍時に「市場価値45億円の右SB」に

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