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「アメリカにひと泡ふかせたい」女子バスケ銀で蘇った23年前の言葉…萩原美樹子が語る日本代表のアイデンティティとは?
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2021/08/25 17:01
アメリカ代表と決勝戦を戦ったバスケットボール女子日本代表。先駆者・萩原美樹子に激闘を振り返ってもらった
村上睦子と加藤貴子は、萩原にとって日本代表のチームメイトであり、何でも話せる親友たちだ。2人とも萩原を追いかけるようにWNBAのトライアウトを受けたが、結局、合格できなかった。それも、アメリカに日本のバスケットボールを理解してもらえなかったという思いに繋がっていたのかもしれない。
「私と村上と加藤だけでいいから、3人でやれば絶対に力を見せつけられたのにって、本当に思ったので。アメリカの人にはこのバスケットはわからないって思ったし、アメリカでは私のバスケットは生きないなって思った。確かに、23年越しに認めさせることができたんじゃないかなっていうふうには思いますね」
受け継がれる日本のアイデンティティ
萩原が、今の代表の活躍を見て自分の思いが晴らせたように感じるのは、今回の日本代表と自分たちがプレーしていたときの日本代表が繋がっていると思えるからだ。
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アトランタ五輪の日本代表も、サイズが足りないなかで3ポイントシュートとスピードを武器とし、素早いパス回しで自分たちより大きな相手を高さよりスピード勝負に持ち込む戦い方で、大会中に旋風を起こした。
それは、今の日本代表にも受け継がれる日本のアイデンティティで、実際、これまでにそのスタイルである程度の成果はあげてきた。萩原が出たアトランタ五輪では、準々決勝でアメリカに敗れたものの7位入賞。2016年のリオ五輪でも、やはり準々決勝でアメリカに敗れたが8位だった。
今回、東京オリンピックでは、そのアメリカと予選ラウンドで同グループになったことで、準々決勝での対戦を避けることができた。そんな運も味方になった。
もちろん、運だけで銀メダルは取れない。
今回の代表は、トム・ホーバスHCが意図したかどうかは別にして、過去の日本の戦い方で通用するところを継続し、さらに上に行けるように必要な修正を加えた戦いをしていた。