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「アメリカにひと泡ふかせたい」女子バスケ銀で蘇った23年前の言葉…萩原美樹子が語る日本代表のアイデンティティとは?
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2021/08/25 17:01
アメリカ代表と決勝戦を戦ったバスケットボール女子日本代表。先駆者・萩原美樹子に激闘を振り返ってもらった
それでは、過去の代表と比べて、どんなところに違いがあったのだろうか。過去に代表のアシスタントコーチを務め、また今年春までアンダーカテゴリーのヘッドコーチとして、そして東京オリンピック中はテレビ解説者として、日本代表の変化を間近で見てきた萩原に聞いてみた。
真っ先に上げたのは3ポイントシュートの成功率の高さだ。
「今回のチームは3ポイントの精度がすごく高かった。アメリカ戦だけは確率が下がったけれど、(それ以外の試合で)40%前後の成功率は本当によかったんじゃないかと思います。本数も、試投数も多かったです」
アメリカ戦2試合を含めた全6試合のスタッツを見ると、日本は3ポイントの成功率(38.4%)、試投数(1試合あたり31.7)、成功数(1試合あたり12.2)のすべてで、大会首位だった。
たとえば、アトランタ五輪のときは成功数(8.2)では首位だったが、試投数(23.2)で2位、成功率(35.3%)で4位。リオ五輪では成功率(38.4)は4位、試投数(18.7)と成功数(7.16)では3位だった。今回は、試投数を上げたうえで、成功率をキープすることにこだわった結果、すべてで他国を上回る結果をあげた。
スペーシングの徹底
萩原はもうひとつ、今回の銀メダル獲得の鍵となった理由として、スペーシングの徹底をあげた。
「今までの日本も当然、平面的な機動力の速さとかっていうところを生かしてバスケットをしていたんですけれど、今回は(それを生かすための)スペースもよかった。準決勝のフランス戦が一番それを物語っていたと思うんですけれど、3ポイントシューターがきちんとスペースをあけて外にポジション取っているから、ドライブに対してディフェンスが寄れない。(赤穂)ひまわりや町田(瑠唯)が切り裂いていったときに、ディフェンスがヘルプに行けば3ポイントを打たれる。スペーシングにすごくこだわって、ドライブと3ポイントでチームを作ってきたというのは、大きいんじゃないですかね。正直、準決勝でのフランスは、途中でディフェンスをしていて嫌になっていたように見えました」