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筒香嘉智は3Aで「らしい成績」を残した…「来季志向」パイレーツならチャンスがあるはず〈“先駆者”は田口壮や川崎宗則〉
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byGetty Images
posted2021/08/16 17:05
2021年だけでレイズ、ドジャース、パイレーツと渡り歩いた筒香嘉智。3球団目での活躍なるか
大谷翔平の今季の躍進は、オフに筋トレによって肉体改造を敢行し一挙にパワーアップしたからだとされる。大谷は投手として繊細な感覚が必要とされる右腕の筋肉増強はせず、他の部位だけを鍛えたと言われるが、大谷と同じく左打席で右中間への強い打球を打つことを理想とする筒香も、何らかの意識の変化があったかもしれない。
そうしたことも含めて「もう少し挑戦してみる」ことにしたのではないか。
パイレーツは筒香の活躍に注目していた
この稿を書き終えて、マイナーリーグ公式サイトの筒香のページを見ると、
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Oklahoma City Dodgers released LF Yoshi Tsutsugo.
というニュースが載った。がっくりきてお蔵入りにしようかなと思っていたが、翌朝になってメディアがピッツバーグ・パイレーツとのメジャー契約を報じた。「捨てる神あれば拾う神あり」である。筒香のAAAでの活躍を見ていた球団があったのだ。
パイレーツはドジャースと同じナショナル・リーグだが、中地区で首位から29.5差の最下位に沈んでいる。チームは解体モードで、3割を打っていたアダム・フレイジャーを7月26日にパドレスにトレードしている。
本来、MLBのトレード期限は7月末なのだが、コロナ禍の今季は特例で、8月末まで期限が延長された。筒香は今季3球団目となるこのチームで、おそらく最後の挑戦をすることになる。
NPBでは絶対的な中軸選手だった筒香だが、MLBでは2年間で1番から9番まで、すべての打順で出場した。守備位置も三塁、外野、一塁、DHと毎日のように変わった。こうした“日替わり起用”も筒香を悩ませたと思う。
すでに来季を志向しているパイレーツでは、選手起用も変わるはずだ。筒香ももう少しじっくりと打席に立てるのではないか。
筒香嘉智の冒険はまだ終わっていない。そのことをまずは喜びたい。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。