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筒香嘉智は3Aで「らしい成績」を残した…「来季志向」パイレーツならチャンスがあるはず〈“先駆者”は田口壮や川崎宗則〉
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byGetty Images
posted2021/08/16 17:05
2021年だけでレイズ、ドジャース、パイレーツと渡り歩いた筒香嘉智。3球団目での活躍なるか
日本復帰を選ばず、3Aで残した数字は……
この時点で、筒香には日本復帰の選択肢もあった。元の球団DeNAとの関係は良好だったし、その実績から考えれば他球団もほうっておかなかっただろう。
しかし筒香は日本に帰らなかった。AAAオクラホマシティ・ドジャースでのプレーを選択したのだ。
<オクラホマシティでの月間成績>
6月
15試42打5安3本5点 率.119
7月
22試75打21安5本16点 率.280
8月
10試31打12安2本11点 率.387
成績はぐんぐん上昇、通算では
43試148打38安10本32点 率.257
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四球も26選び、出塁率は.361となった。
NPB出身の打者はMLBでは苦戦するものの、1ランク下のAAAでは好成績を残すことが多い。「NPBはAAAAだ」と一部で言われる所以だ。そういう意味では筒香のこの成績は驚くべきものではない。
また、MLBで成績を残せなかった日本人打者は2年で日本復帰することが多い。田中賢介、西岡剛、そしてMLB昇格を果たせなかったが中島裕之(現・宏之)だ。筒香もその例に連なる可能性もある。
MLBとマイナーを往復した田口と川崎
しかし、AAAでの充実した成績を見ると筒香はもう一度チャレンジしようとしていることが伝わってくる。そしてMLBとマイナーリーグを往復しながら、アメリカで長期間プレーしたNPB出身選手も中にはいる。
2002年にオリックスからカージナルスに移籍した田口壮と、2012年にソフトバンクからマリナーズに移籍した川崎宗則だ。
田口はカージナルスのラルーサ監督からの信頼が篤く「4番目の外野手としては最高」と評された。また川崎は毎年のようにマイナー契約からMLB昇格を果たしたし、ブルージェイズではムードメーカーとして人気があった。しかし2人はともに中軸打者ではなく、守備要員やスーパーサブ的な起用が多かった。
筒香は典型的なスラッガータイプだ。この手の選手がメジャーを目指して再挑戦するのは、異例のことではある。