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なぜ将棋? レッズ小泉佳穂が影響を受けた羽生善治の“直感力” 自宅では毎日1時間「まだ強くなれる」
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byL:Naoki Morita/AFLO SPORT R:Keiji Ishikawa
posted2021/08/13 11:02
リスクを恐れない“一手の選択”など、羽生善治(右)の考えに影響を受けていると話す浦和レッズMF小泉佳穂
「渡辺明先生の将棋との向き合い方は、参考になります。仕事と割り切り、けじめをつけることも大切だなと。何十年も同じことをしていれば、子供の頃のような気持ちでボールを蹴っていないことがあり、少し寂しさを覚えたりもするんです。でも、僕はいま仕事としてサッカーをしているんだよなって、あらためて思いました。そこを忘れてはいけませんよね」
大卒3年目でJ2からJ1に“個人昇格”し、向上心にあふれる男が目指すのはA代表。突き詰めていく作業を怠ることはない。なぜ、ミスをして、なぜ成功したのか。1人で分析する。技術、判断、戦術眼など、数え上げれば切りがない。野球、ゴルフのようにキック、トラップのフォームも映像でチェックする。「これまでとは違う努力をしていかないといけない」と言葉に力を込める。
A代表に名を連ねるまでになれば、敬愛する棋士の羽生善治、渡辺明らとの接点も生まれるかもしれない。本人に水を向けると、首を横に大きく振っていた。
「羽生先生、渡辺先生ともなると、僕なんかは恐れ多いです。A代表に一度選ばれるだけではなく、定着するレベルにならないといけませんよ。そのとき、機会があれば、お話を聞いてみたいですね。モチベーションの一つにします。渡辺先生はサッカー好きでアトレティコのディエゴ・シメオネ監督のことがお気に入りみたいなので、そのことも聞いてみようかなと思います」
謙虚な野心家は、レジェンドたちの領域に上り詰めるまでに、これからも直感を磨き続けていくつもりだ。きょうもまた、盤上で生きる棋士から新たなヒントを得ているのかもしれない。
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