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“指輪投げつけ三角関係”や浮気→北京で金、33歳で東京五輪7位のち… 「魔性のイタリア女性スイマー」の強烈すぎ人生
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2021/08/11 11:01
公私ともに規格外のスイマーだったベッレグリーニ。東京五輪にも出場した
「2人がプール脇で親密に抱き合ってる写真が出て」
当時、マナドゥには、ルカ・マリンという恋人がいました。マリンはイタリア男子代表の個人メドレー選手で、2人は06年のブダペスト欧州選手権で互いに一目惚れし、言葉も通じないまま遠距離交際をはじめました。さすがフランスとイタリア、燃え上がるのが早い。
マナドゥは北京五輪を1年後に控えた07年5月、当時のコーチやフランス国内の世論の反対を押し切り、マリンの所属するトリノのクラブへ移籍します。しかし、新チームの指導者やチームメイトと衝突した彼女はわずか3カ月で契約を切られ、これに立腹した父親がクラブを糾弾する事態となるなど伊仏両競泳界の間に亀裂が走りました。
マナドゥは12年に現役引退し、すぐに自伝を出版するのですが、そこにはプールの内外ですでに 当時敵視していたペッレグリーニへの嫉妬心が赤裸々に綴られています。
「彼女は私の恋人だったマリンへ頻繁にSMS(携帯ショートメッセージ)を送って、ちょっかいを出してきた。彼も彼で『彼女とはただの友だち』とずっとはぐらかしていて、おかしいと思ってた」
「私はずっとピルを飲んでいたのに、なぜかコンドームが洗面所にこれ見よがしに置いてあったことがあった。そこで私はピンときた、これはあの女(=ペッレグリーニ)の差し金だ、と。それでゴシップ誌に2人がプール脇で親密に抱き合ってる写真が出て、あのときはムカついて吐きそうだった。あの女の目ン玉えぐり出してやる、と思った」
伝説の“指輪投げつけ事件”
これに対して、ペッレグリーニはもちろん黙っていませんでした。ライバルにあれやこれや書かれた自伝の発売直後、彼女はツイッターでド直球の反撃をしています。
「あんたさ、自分の本の中で正義の味方ぶってるみたいだけど、人生で自分の都合いいとこだけ切り取ってんじゃないよ!」
07年の秋、ついに耐えきれなくなったマナドゥはマリンと別れ、母国フランスへ戻った後、新恋人を作りますが元彼への未練タラタラ。
12月にハンガリーで行われた短水路欧州選手権に、ペッレグリーニが勝ち誇った笑顔で新しい恋人マリンと連れ立って現れたのを見た彼女は激昂し、かつてマリンから贈られた指輪を公衆の面前で投げつける暴挙に。北京五輪を前に3人の三角関係を世に大きく知らしめる“指輪投げつけ事件”は、たいそうな話題になりました。