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外国人記者が最後に語った“東京五輪の本音”「セブンイレブンは最高」「あの菓子パンが美味しかった」「シブヤが暗くて驚いた」
posted2021/08/09 17:02
text by
近藤奈香Naka Kondo
photograph by
Getty Images
「オリンピックの取材を10回、12回、14回と重ねてきたベテランカメラマンであっても、今回に限っては一歩ずつ、様子を見ながら前に進むしかない」(ジョー・マクナリー氏、アメリカ人カメラマン)。地元から「望まれない」なかでの来日、到着後の自主隔離、猛暑……とアスリートのみならず、取材陣にとっても異例尽くしのオリンピックだった。
来日した取材陣のルーティンは「まず3日間の隔離生活を送った後、『オリンピック・バブル方式』に移行する、というものだった。(五輪関係者を外部と遮断するため)指定された宿に泊まり、専用シャトルバスで競技会場へ移動し、競技が終わると再びシャトルバスに乗り込み宿へ帰るというもの」(同前)。
もちろん近所にご飯を食べに行ったり、ビールを飲みに行ったりすることもできない。そもそもそんな時間的・体力的余裕があるかどうかは別としても、ホテルからの外出は「15分以内」に戻る必要があるため、「ファミリーマートへの買い出しが、外出の全て。(滞在した)16日間、朝・昼・晩とファミリーマートの“フレッシュでデリシャスな”サンドイッチの世話になっている。卵が美味しいね」(同前)。
「セブンイレブンのエビマヨネーズおにぎりを毎日食べていた」
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「バブル方式」の中で“隔離生活”をしてきた報道陣にとって、コンビニの存在感は絶大なもので、カナダ人レポーター(デビン・ハーロウ氏)の「セブンイレブン愛」が話題になったように、日本のコンビニ文化が海外報道陣の「生活の糧」となった。なおハーロウ氏は『鶏から揚げおにぎり』、『枝豆チップス』、『ポカリスエット』を当初推していた。
そのハーロウ氏と「同じセブンイレブン」を利用して、「あの店は“マイ”セブンイレブンだよ」と語ってくれたのがオーストラリア記者のエリック・バッグショウ氏だ。「僕が個人的に気に入ったのはエビマヨネーズの入ったおにぎり。本当に毎日のように食べたから最後には飽きてしまったけど……」と笑顔で話した。
コンビニが人気になったのにはこんな事情もある。記者が集まるメディアセンターには「これと言って食べる物がない。しかも中で買うことができるのは『プレミアム弁当(1600円)』『(唐揚げ4、5個入りの)ランチボックス(800円)』、アクエリアス300円……すべてが割高な“ディズニーランド価格”で販売されていた。無料で提供されるのはコーヒー、ペットボトルの水、ゼリービーンズとチョコレートだけ」(日本在住のアメリカ人カメラマン、クリストファー・ジュー氏)、という声も聞かれた。そんななかで値段も手頃で、味も満足できるコンビニ食が記者たちにウケたというわけだ。