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「体育館裏、彫刻刀で左腕を…」マイケルや金正恩に技を披露した大道芸人が壮絶イジメ体験を中高生に伝える理由《中3で渡米、17歳でW杯》
posted2022/01/17 11:00
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph by
CHANG-HAENG
マイケル・ジャクソンと金正恩の前で大道芸を披露した人物が日本にいる――と言えば、どれほど信じる人がいるだろうか。
36歳の芸人の名は「ちゃんへん.」。本名は金昌幸(キム・チャンヘン)。
京都府宇治市生まれの在日コリアン3世だ。
彼の肩書きは“世界的プロパフォーマー”。ジャグリングを披露しながらこれまで世界82カ国を巡り、スラム街や難民キャンプ、朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)と一般人ではなかなか訪れることが難しい場所にも赴いてきた。
マイケル・ジャクソン、金正恩の前で
「マイケル・ジャクソンに出会ったのは、2004年に南アフリカで行われたアパルトヘイト撤廃10周年のイベントでした。僕の出番の時にパッと横を見たら舞台袖にマイケル・ジャクソンがいました。僕の次がマイケル・ジャクソンのモノマネショーなんだって思っていたんです。そしたら本物だったんですよ。出演するのではなく、お忍びで来てたんですよね。握手したのですが、その手はすごく大きかった」
北朝鮮の金正恩総書記との衝撃の出会いはこうだ。
「2012年4月に金日成主席の生誕100周年のときに北朝鮮に行ったのですが、平壌学生少年芸術団の前で公演したんです。それを朝鮮労働党の人が映像で見ていて、夜のレストランでご飯を食べていると、声をかけられて『我々も見たい』ってなったんです。僕の誕生日が10月10日だと伝えると『朝鮮労働党創建の日か!』となり、なおさらこれは実現すべきだとなって、その年の10月に再訪問して、朝鮮労働党の方々の前で単独公演しました」
公演が終わると、舞台袖で待つように伝えられた。すると目の前に登場したのが金正恩総書記だった。
「すると一言、『それは私も練習したらできるものなのですか?』って聞かれました。その質問に『えっ』とびっくりしました(笑)。『平壌に住んでみないか』とか言われるのかなと思ったのですが(笑)。実際には30秒くらいでしたけど、長く感じました」
嘘のようで本当の話である。これでつかみはオッケーだろう。