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石川(28)、平野(21)、伊藤(20)の“個性爆発女子トリオ”はなぜチームワーク抜群なのか?〈普段はバラバラ→団体戦で“和気あいあい”銀メダル〉
posted2021/08/07 17:04
text by
高樹ミナMina Takagi
photograph by
Shinya Mano/JMPA
東京五輪でも卓球が日本中を沸かせた。特に団体決勝までの3試合を全てストレートで勝ち上がった伊藤美誠、石川佳純、平野美宇の女子チームは、その勢いを駆って世界最強軍団の中国との決勝も互角に渡り合えるのではないかと期待を持たせてくれた。
結果は予想をはるかに超える強さの中国が日本を圧倒。五輪4大会連続の金メダルをさらっていったが、銀メダルの日本も体格やパワーで勝る強敵を相手と最後の一球まで諦めずに戦い抜き、多くの人々を熱くさせた。
五輪の卓球女子団体における日本のメダル獲得は、2012年ロンドンの銀、2016年リオ五輪の銅に続く3大会連続となった。
パワフルなプレーと、和気あいあいとした仲睦まじい様子
伊藤、石川、平野の卓球3人娘は石川(28)、平野(21)、伊藤(20)という構成で、石川と伊藤には8学年の差がある。
キャプテンは年長の石川で、年下ながら頼もしいエースの伊藤と石川とダブルスを組む平野がそれぞれの個性を出しつつ、先輩の石川を敬い盛り立てる。
石川もキャプテンとして五輪本番前から「チームワークが大事」「チーム一丸となって」などの言葉で若い2人の士気を高めていた。
3人の雰囲気は取材現場で見ていても本当に良かった。ダブルスでよく声をかけ合う石川と平野の様子や試合後のインタビューで和気あいあい質問に答える仲睦まじい3人の様子は連日、テレビ中継でも伝えられた。
実力があってチームワークもいい。それが卓球女子チームだ。
しかし、卓球のチームワークは団体競技とは少し違う。個人競技の卓球では団体戦も「個」の集まりで、その傾向は特に女子選手に強いと感じる。
普段はばらばらで練習→“勝利”という共通の目的のもとに結束
女子選手は普段の練習からして個々に環境が違う。所属チーム単位で練習する男子に対し、女子は「母体」と呼ばれる各自の練習拠点を持ち、伊藤や石川、平野らプロ選手は専属のコーチやスパーリングパートナーを抱えている。
練習場所は伊藤が大阪市にある私塾の関西卓球アカデミー、石川はTリーグの契約チーム・木下アビエル神奈川の本拠地である川崎市の木下グループ卓球部、そして平野は高校2年生まで在籍していたエリートアカデミー時代に使っていた東京・北区の味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)という具合だ。
普段はばらばらに活動する3人が唯一、一緒になるのがNTCで定期的に行われるナショナルチームの強化合宿。宿泊施設も完備し、東京五輪前は6月28日から合宿を張って大会本番を迎えた。