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石川(28)、平野(21)、伊藤(20)の“個性爆発女子トリオ”はなぜチームワーク抜群なのか?〈普段はバラバラ→団体戦で“和気あいあい”銀メダル〉 

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高樹ミナ

高樹ミナMina Takagi

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photograph byShinya Mano/JMPA

posted2021/08/07 17:04

石川(28)、平野(21)、伊藤(20)の“個性爆発女子トリオ”はなぜチームワーク抜群なのか?〈普段はバラバラ→団体戦で“和気あいあい”銀メダル〉<Number Web> photograph by Shinya Mano/JMPA

銀メダルに輝いた卓球女子団体。石川、平野、伊藤のチームワークが光った大会だった

 また、オフシーズンがない卓球は一年中、国際大会が開かれており、新型コロナウイルスのパンデミックが起こるまでは3人とも海外のプロツアーを転戦していた。その移動も現地での行動も、基本は別々。団体戦で見るような和気あいあいとした光景はほとんど見られない。

 しかし、五輪や世界選手権の団体戦になると、選手たちは驚くほど固い結束で結ばれる。「試合に勝つ」という共通の目的があるからだ。そして、結束は戦う舞台が大きければ大きいほど強くなる。

精神年齢の高い伊藤、自立心旺盛な平野

 もう一つ、年の差チームが上手くいく大きな理由は3人の競技力の高さにある。キャリアが長く実績のある石川(世界ランク9位)も自分よりも若い伊藤(3位)と平野(12位)の実力を認め、「2人のプレーから学ぶことは本当に多い」と話している。

 特に3大会連続で出場した五輪を石川は「この東京大会が自身最後になるかもしれない」と公言しており、日本女子卓球の総合力を証明する団体戦の金メダルにこだわっていた。そのため自分よりも世界ランクの高い伊藤や実力拮抗の平野という、中国のトップ選手にも勝ったことのある強い選手とこのタイミングでチームを組めることは願ってもない幸運だった。

 加えて、精神年齢の高い伊藤と自立心旺盛な平野は8学年上の石川とそれほど年齢差を感じさせない。

 伊藤は3歳になる少し前、平野は3歳半から母親のもとで卓球を始めて頭角を現した。小学生になる頃には「第二の愛ちゃん(福原愛)」「天才卓球少女」と呼ばれる有名人で、テレビや新聞などの取材も数多く、小さな頃からたくさんの大人に囲まれて育った。そのため周りの子どもたちよりも早熟だったと言えるだろう。

 実際、平野は中学に上がると同時に山梨県の親元を離れ、全寮制のエリートアカデミーに入所。ホームシックを心配した母・真理子さんが「全然、連絡が来ない」と拍子抜けするほど手がかからなかったというし、伊藤は伊藤でインタビューの受け答えが大人びていることから、10代の頃から「中身は35歳くらいです」と言って笑いに変えていた。

 天真爛漫な伊藤と天然キャラといわれる平野では性格こそ違うが、2人とも周囲の空気を敏感に読み、自分が何を求められているかを理解して、それにきちんと応えることができる。それでいて自分のやるべきことに集中し結果を出せるのだから、達観していると言わざるをない。

【次ページ】 伊藤「個々の力を上げることがチームワークにつながる」

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