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「福原さんは、すごいな」卓球・石川佳純が見ていた“リオのキャプテン”の姿 団体“銀”の3人は東京五輪にどう挑んだか
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byTakuya Matsunaga/JMPA
posted2021/08/06 17:07
卓球女子団体決勝で中国に敗れ、銀メダルを獲得した日本代表。それぞれにこの大会に懸ける思いがあった
「普通に返してくれることが全然なかったです」
試合について、3人はそれぞれに語った。
「スタートがすごくよくて、自分たちが話し合ったとおりにできて、強気で攻めていくことができました。2ゲーム目も悪くなかったんですけど、序盤にリードされて少し苦しくなりました。やはり3ゲーム目、6―6、7―7で大きなラリーを獲れなくて。少しレシーブがうまくいかなくなって、そこから相手に甘くなったところを狙われる場面が多くなりました」(石川)
「全体的にはすごくよかったと思います。レシーブが少しうまくいかなかったり、浮いてしまいました。また、台上の技術やちょっとしたところでペースを持っていかれたところがあります」(伊藤)
「ダブルスは石川さんと練習してきたことが出せた場面が多かったです。でも中国は1本多く返ってきて、最後の1本が遠く感じました。シングルスは準決勝まで通用していたプレーが通用しなかったり、1本多く返ってきて、しかもその1本がすごく質が高くて、普通に返してくれることが全然なかったです」(平野)
敗れても、相手の領域に今までより迫ったと感じることができた。それは本気で、中国を倒して世界一になることを目指してきたからだ。
「いちばん練習を頑張ってきたと心から思える」
石川は言う。
「ロンドンでは、準決勝に勝つことが目標で、決勝で勝つ準備はできていませんでした。でも東京に向けて、絶対とる、という気持ちでやってきました。意識も変わったし、自分への期待、やれる、やりたいという気持ちは大きく変わっていました」
伊藤はこう語っている。
「勝ちたい気持ちは強かったです。でも、正直、どの選手よりもいちばん練習を頑張ってきたと心から思えるし、だからこそ、自信を持ってメダルを獲れたと言えます」
勝てなかった悔しさはある。でも本気で倒そうとして本気で練習して挑み、その上での結果だ。だから3人は、晴れやかだった。