オリンピックへの道BACK NUMBER
「ダブルスを石川さんと戦えて、すごく心強いです」 卓球女子団体のカギを握る平野美宇にチームが伝えていたこと
posted2021/08/05 12:25
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Takuya Matsunaga/JMPA
いよいよ、大一番を迎える。
卓球女子団体日本代表は、前評判通り順調に勝ち上がり、決勝で中国との一戦に臨む。
1回戦の対ハンガリー、準々決勝のチャイニーズタイペイ、準決勝の香港と、すべて3−0で勝利。初めて決勝に進出したロンドン五輪も同様にすべて3−0で決勝に進んだが、あのとき以上の安定感のある戦いぶりを見せている。
前回大会までと方式が異なり、ダブルスからスタートする今回は、石川佳純と平野美宇のダブルス、そして伊藤美誠、平野の順で臨んできた。ここまでの3試合は、ダブルスで先手をとり、続く2戦を制して勝利をおさめた。3人それぞれに持ち味を出しているのが試合に見てとれるが、オリンピックは初出場であり、今大会の舞台に団体で初めて立つことになった平野もまた、それを思わせないプレーを披露している。
「平野にいかに自分のプレーを出させるか」
オリンピックのデビューとなった初戦のあとは、「やっぱりオリンピックは特別だな、とすごく感じました」と大舞台の実感を言いつつ、こうも語った。
「すごくプレーしていて、楽しかったです」
その言葉の通り、準々決勝、準決勝でも重圧とは無縁のプレーを見せ続ける。
馬場美香監督は、大会を前にこう考えていたという。
「平野に、いかにオリンピックで思い切って自分のプレーを出させるかどうかがポイントだと考えていました」
オリンピックの経験があり、すでに今大会でもシングルスでの戦いを経ている石川や伊藤とは違う。ある意味、団体の鍵を握ると考えていた。ここまで順調に進んできたのは、懸念を吹き飛ばす平野の活躍も大きかった。