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「ここで点を取ったら“もうひとつ上の上田綺世”に」 五輪直前のケガも選出に感謝…“恩返しになる結果”で決勝への扉をこじ開けろ
posted2021/08/03 11:03
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
JIJI PRESS
スペインA代表の守護神、ウナイ・シモンが守るゴールをいかにこじ開けるか――。
これが、決勝進出を懸けたスペイン戦で大きな焦点となるのは間違いない。
ニュージーランドとの準々決勝は120分間の激闘となっただけに、なんとしても90分間で決着をつけたいところだ。
「俺がチームを勝たせるという気持ちで、ちょっとビッグマウスになろうと思います」
スペインとの決戦に向けて久保建英が珍しく気を吐けば、堂安律も「次はオフェンス陣がディフェンス陣を助けられるようにしたい。次は入れます」とゴールを誓った。
むろん、この五輪代表チームで最多となる17ゴールを決めてきた上田綺世も、日本を決勝へと導くべく、闘志を燃やしている。
「チームが勝つのが前提ですけど、そのために点を取ることを忘れちゃいけない。どのくらいの時間をもらえるか分からないけど、全力でゴールを狙うつもりだし、それ以外にもチームに貢献するために、僕の持っている力の限りを使ってやっていけたらと思います」
痛恨の決定機逸からPK戦キッカー1番手に立候補
ベンチスタートとなったニュージーランド戦では、69分からピッチに立った。PK戦に突入するまでの51分間で放ったシュートは2本。なかでも上田が責任を感じているのが、82分の場面だ。
右サイドから堂安が流し込んだグラウンダーのクロスに右足で合わせたが、ボールは相手GKに弾き出された。
痛恨の決定機逸――。
しかし、だからこそ延長戦を終え、森保一監督がPK戦のキッカーを募ったとき、上田は真っ先に名乗りを挙げた。
最もプレッシャーの掛かる1番手を志願したのは、あの場面で外してしまったから、にほかならない。
「この状況を作ったのは僕なので。取り返すことはできないけど、自分がしっかり決めてチームを勢い付けることしか僕にはできないと思ったので、1本目に立候補しました」
そのときの心境を振り返ったストライカーは、さらにこう続けた。