「いつもニコニコ」の“モミちゃん”

　同じく金メダリストとなった堀米雄斗や、「ゴン攻め」「ヤベーっす」などの解説で話題を呼んだ瀬尻稜と共に今や時の人となったわけだが、彼女の魅力はなんと言っても素直で飾らないその仕草だ。彼女のライディング映像撮影をきっかけに、まるで親代わりで面倒を見ていたフィルマー（カメラを片手に映像作品を制作するスケートボーダー）村井祐里さんは、彼女の人柄をこのように話す。

「人懐っこくてスケボーしてる時も一緒に遊んでる時も本当にいつもニコニコしているんです。家に数日間泊まりに来た時のエピソードなんですけど、ババ抜きをしてたんですよ。ただモミちゃん（西矢のあだ名）にジョーカーがくると表情ですぐわかっちゃうんです（笑）。でも大の負けず嫌いだから絶対『もう一回！！』 って言うんですよね。

　スケボーの撮影をしてても、うまくいかなかったらよくある子供のいじけてる感じで凹んでるのがすぐわかるし、逆にトリックをメイク（成功）したらコロッと変わります。本当にわかりやすいんですよ。裏が全くないピュアな感じがまた可愛い」

　まさに五輪本番で見せたイメージそのものだ。

ライディング中も笑顔を絶やさない姿が印象的だった　©Getty Images

「僕の周りはもう完全に椛フィーバーですよ」

　それに彼女は（これはスケートボード特有の文化でもあるのだが）、他の国の選手とも仲が良く、相手がトリックを成功させればお互いを称え合うことは忘れない。そんな競技スタンスも彼女の性格を映し出すひとつの鏡になっているように思う。

　彼女にスポンサーを紹介するなど、面倒見のよいお兄さんのような存在でもあるスケートボーダーの森岡正治さんも彼女のそんな純粋な一面を次のように評価する。

「金メダルを獲った夜にTV電話しても出てくれるし、こんな歴史的なことを成し遂げてもいつも通りなんです。そんなところもファンが増える要因なんでしょうね。僕の周りはもう完全に椛フィーバーですよ」

　ただ、彼女のライディングに関しては決して天才肌ではないと言う。

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