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〈出産・育児と並行してブラジルで男子柔道を指導〉藤井裕子監督と愛弟子が涙の銅メダル… 2人に聞く“阿部一二三らとの激闘と信頼関係”
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byAgencia EFE/AFLO
posted2021/07/28 11:03
藤井裕子監督のもとで銅メダルを獲得したカルグニン。ともに涙を流した
カルグニン:私にとって、家族はかけがえのないものなので。小さい頃、柔道の稽古で投げられてばかりで、泣きながら家へ帰ると、母が「何か食べて元気を出しなさい」、「明日はまた別の日になるんだから」と励ましてくれた。
柔道以外にフットボールも好きで、グレミオ(ブラジル南部に本拠を置く名門クラブ)の下部組織で右SBとしてプレーしていた。でも、柔道とフットボールを掛け持ちで練習をするのが大変になり、母から「どちらかに絞りなさい」と言われた。あのとき柔道を選んで、本当によかった。
今年4月、ナンバー本誌から藤井裕子監督とブラジル柔道男子代表選手のインタビュー記事の依頼を受けた。その際、藤井監督に主力選手2人の推薦をお願いしたところ、名前が出たのがこのカルグリンと100kg超級のラファエル・シルバだった。シルバは過去の五輪で銅メダル2個を獲得している実力者だから当然だろうが、カルグニンに関してはそれだけ藤井監督の期待が大きかったということだろう。そして、彼は恩師の期待に見事に応えた。
ブラジル柔道男子は全階級に選手を送り込んでいるが、とりわけ7月30日に出場するラファエル・シウバ、そして31日に行なわれる混合団体にメダルの期待がかかる。
藤井監督は、2012年ロンドン五輪で英国代表のコーチを、2016年リオ五輪でブラジル女子代表のコーチを務めてメダル獲得に貢献。自分の母国で行なわれる東京五輪でも、早くもメダル獲得を成し遂げた。
さらなる幸運を祈りたい。
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