注目のバッティングでは、内角低めにスッと沈んだチェンジアップ系のボールを、絶妙のバットコントロールでミートしてセンター前のライナーにしたワンスイングの「とっさ力」に驚いた。

　キラリと光ったかと思うと、「甘さ」もちょっと顔を出し、またキラッと光ってみせる。岡山学芸館・宇地原丈智は、早く次の機会を見てみたい……そんな思いを抱かせてくれる遊撃手だ。  

【4】神戸国際大付属高・山里宝遊撃手（2年）

　岡山から新神戸は新幹線で30分ほど。さらに、地下鉄に乗り換えて20分。「ほっともっとフィールド神戸」には、11球団のスカウトが詰めかけた。

　神戸国際大付属高には阪上翔也投手（3年・180cm77kg・右投左打）がいて、神戸弘陵高に時澤健斗投手（3年・184cm83kg・右投両打）、武庫荘総合高に斎藤汰直投手（3年・182cm85kg・右投右打）…プロ志望届を出せば、「上位」の可能性もありそうな3選手の登場だ。

　145キロ前後の快速球が飛び交う中で、華麗なフィールディングで精彩を放った神戸国際大付属高・山里宝遊撃手（171cm70kg・右投両打）。この遊撃手もまた2年生なのだ。

　この春のセンバツ。セカンドを守ったこの選手のプレーが、実に上手かった。

　二遊間寄りも、一二塁間のゴロにも、同様の低さでグラブを使えて、セカンド特有の「右回り」の送球も柔らかくこなす。二盗阻止の二塁ベースカバーに入るタイミングとショートバウンドの送球でも捕球と同時のタッチプレー。それでも、試合で初めて守った「セカンド」とあとで聞いて、そりゃあ驚いたものだ。

　今日は「本職」のショートだ。

　守備位置が深い。右打者なら外野の芝生に入って守る。イニング間の練習時の一塁手への「投げっぷり」を見ると、春より「強肩」になっている。

　三遊間に高いバウンドの打球が飛ぶ。捕球してからトップを作っていては間に合わない。と、高いバウンドのピークあたりでグラブを上から伏せるように捕球すると、その高さからそのまま腕を振り下ろして一塁送球だ。ワンバウンドのストライクスローで刺してみせ、しっかり「見せ場」をものにした。

　不利な体勢になってからも、動きのボディーバランスがすばらしい。あと1年あって、これ以上どう上手くなれるのか……それでも、必ずもっと上手くなってくるのだ。

　高校生の潜在能力は計り知れない。さあ、ここから先は、「投手」の逸材たちが待っている。甲子園への道は、メラメラする夏に、まだまだ続く。