Jをめぐる冒険BACK NUMBER
久保建英「決めるとしたら自分」 吉田麻也「コンディションを100に…」頼もしい金メダルへの余白 冨安健洋のケガも“強くなる契機”に
posted2021/07/23 17:05
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
JIJI PRESS
戦い終えたばかりの選手たちがミックスゾーンとして用意された部屋に現れ、メディアから声を掛けられると足を止め、質問に答えていく――。
かつては当たり前だった光景が、実に1年半ぶりに戻ってきた。
日本代表やJリーグではコロナ禍に入って以来、選手の対面取材が禁じられ、オンライン取材に切り替わったが、東京五輪では選手との距離が十分取られたうえで、対面取材が採用されたのだ。
1-0と勝利した7月22日の南アフリカとの初戦終了から約10分後、ゴールを守った谷晃生が真っ先に姿を現すと、前田大然、橋岡大樹、大迫敬介といった出番のなかった選手たちが続く。その後、まだ高揚感を残す三好康児や田中碧、林大地ら先発メンバーが次々と部屋に入ってきた。
そして最後に、テレビ対応のために遅れた久保建英と吉田麻也のふたりが登場したミックスゾーンで、特に印象に残ったコメントがふたつある。
「今日決めるとしたら自分だ、と」
ひとつは、決勝ゴールを決めた久保のものだ。
「試合途中から本当に『今日決めるとしたら自分だ』と自分に言い聞かせていた。そういう気持ちでやらないと勝てないですし、待っていても誰も決めてくれないなと思っていたので、しっかり自分のゴールでチームを勝たせることができてよかった」
待っていても……、という言い回しがなんとも久保らしくて微笑ましいが、自分自身にプレッシャーを掛けて、それを乗り越えていく。大舞台のここぞ、という場面でチームを勝利に導く働きをすることは、大選手となる絶対条件である。
三浦知良も、中田英寿も、本田圭佑も、そうやってエースと呼ばれるようになっていった。久保も近い将来、そう呼ばれる日がくるとしたら、まさにこの南アフリカ戦が、その第一歩となるかもしれない。
吉田が言及した「コンディション」
もうひとつは、吉田の言葉。キャプテンである彼のチームに関する表現は重みのあるものばかりだが、今回は彼自身について言及したコメントを取り上げたい。