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卓球・石川佳純28歳「2人の会話は全て中国語」「2年間で食事は1度だけ」プライベートコーチが明かした“師弟関係”
text by
高樹ミナMina Takagi
photograph byKosuke Mae
posted2021/07/15 17:05
過去2大会よりも「自分の気持ちに向き合えているのかもしれない」と石川。間もなく3度目の舞台、東京五輪が始まる
石川は今号のインタビューの中で、「邱さんは練習でも試合でも、必ず私に自信を持たせることを言ってくれる。それを聞くと出来るって思えてくる」と話しているが、自信にあふれた指導者の言葉が選手の背中を押すことは想像に難くない。
邱のもとで強くなろうとする選手には、「邱さんに付いていけば大丈夫」「邱さんに認められたい」というモチベーションが芽生えるに違いない。
兄のような“もう一人のコーチ”
さらに石川にはもう一人、兄のように彼女を支える軽部隆介という心強いコーチがいる。現役選手でありながら石川のコーチも務める二刀流の軽部はカットマンに強く、カット打ち(カットマンに対する打法)のテクニシャンとして知られる。
軽部に教えを乞うたのは2度目の五輪直後だった。12年ロンドン五輪ではベスト4。あと一歩届かなかったメダルを狙った16年リオ五輪のシングルス初戦で、石川は初対戦のカットマン、キム・ソンイ(北朝鮮)に敗退している。雪辱を誓い、軽部のもとで約2年間、カット打ちを猛特訓した。
その甲斐あって、18年に行われたチームワールドカップロンドン大会や世界選手権ハルムスタッド大会(ともに団体)では、因縁のキム・ソンイ戦に連勝。他のカットマンからも勝利を奪い、あまり得意ではなかったカット打ちを克服した。
「東京五輪に向けてまた目一杯、カット打ちを練習しています」という石川。邱のもとでは課題だったサーブとレシーブ、バックハンドを強化したのに対し、軽部コーチにはカット打ちの極意を授けられた。
競技人生の円熟期を迎えてなお変化を止めない石川は、今年1月の全日本選手権で5年ぶり5度目の優勝を果たしたように、今も進化を遂げている。
まもなく開幕する東京五輪ではどんな進化を見せてくれるのだろうか。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。
Number1031号では、石川佳純の独占インタビューのほか、池江璃花子×羽生結弦のスペシャルロング対談や、内村航平、阿部一二三、桃田賢斗、張本智和、萩野公介、吉田麻也、石川祐希、平野歩夢といった今大会のアスリートたちに関するインタビューやノンフィクション、東京五輪19日間の見どころを解説する「日替わり名勝負観戦ガイド」なども掲載。ぜひご覧ください。