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卓球・石川佳純28歳「2人の会話は全て中国語」「2年間で食事は1度だけ」プライベートコーチが明かした“師弟関係”
text by
高樹ミナMina Takagi
photograph byKosuke Mae
posted2021/07/15 17:05
過去2大会よりも「自分の気持ちに向き合えているのかもしれない」と石川。間もなく3度目の舞台、東京五輪が始まる
「1日4~5時間練習したら終わり、試合が終われば別々(に行動する)。木下(グループ卓球部)では2018年から、プライベートコーチとしては2019年から(石川を)指導しているけど、一緒に食事をしたのも、妹の梨良と3人で1回だけ。コーチや監督が選手とプライベートで一緒に居すぎるとお互い馴れ合いになってリスペクトがなくなります。そうなると練習が難しくなる。練習や試合とプライベートは分けなくてはならないというのが私の持論です」
それは石川だけに限らない。邱のスタンスはどの選手に対しても一貫している。例えば13年からプライベートコーチとして、2018年以降は木下マイスター東京で指導をする水谷とも「食事をしたのは1、2回だけ」と言う。
戦術論にも長けた邱は、選手と一定の距離を保つ一方、離れている時間には試合映像を分析し戦術を立て、いかに選手が試合で勝てるかを始終考えている。
2人の会話は全て中国語
選手と連絡を取り合うことも欠かさない。たとえば、自分が練習場に行けない日は石川が練習場に来ているかどうかを現場に確認し、いないと聞くと即、石川の携帯電話に連絡を入れる。2人の会話は全て中国語だ。
「どこにいるか聞くと、トレーニングしていると言うんですよ。『本当? OK、わかった。じゃ、1週間後は何している? 休み? 梨良とネイルに行くでしょ』と言うと、『なんで邱さん分かるの!?』って。佳純にはいつも私の目があるんです」
そう言って笑うが、選手と向き合う真剣な姿勢や態度は当然、選手にも伝わる。
邱の発言や仕草には一切「迷い」が感じられない。インタビューに答える表情も自信にみなぎっている。その言葉や眼差しは力強い。