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卓球・石川佳純28歳「2人の会話は全て中国語」「2年間で食事は1度だけ」プライベートコーチが明かした“師弟関係”
posted2021/07/15 17:05
text by
高樹ミナMina Takagi
photograph by
Kosuke Mae
いよいよ開幕が迫った東京オリンピック。発売中のNumber1031号「オリンピック開幕直前特集『東京に、凱歌を』」では、今大会の主役のひとり、卓球女子日本代表の石川佳純選手の独占インタビュー記事を掲載しています。ここではその記事のために取材した、石川選手のプライベートコーチを務める邱建新(キュウ・ケンシン)氏の話から、本編で書ききれなかったエピソードをご紹介します。
選手にとって優れた指導者との出会いは、競技人生を左右する一大事だ。
約20年に及ぶ石川佳純の卓球人生にも大事な時期に出会えた良き指導者がいる。その一人が邱建新だ。
2018年10月、Tリーグに真っ先に参戦を表明した木下グループ卓球部の総監督に邱が就任したのを機に、女子チームの木下アビエル神奈川は石川と契約。さらに2019年に石川陣営は邱をプライベートコーチに迎え、本格的に指導を仰ぐようになった。
邱は世界トップレベルのドイツ・ブンデスリーガや、かつて卓球の名門校として水谷隼や丹羽孝希ら日本代表選手を輩出し名を馳せた青森山田学園で指導力を発揮した名伯楽だ。16年リオ五輪では当時プライベートコーチをしていた水谷が男子シングルスで銅メダルを獲得。男女を通じて日本初となる五輪シングルスでのメダル獲得の快挙へ導いた。
石川も12年ロンドン、16年リオに続く自身3度目の五輪挑戦を邱の手腕に委ねることに決め、最も過酷といわれた昨年の東京五輪の代表選考レースを勝ち抜いて、わずか2枠しかない女子シングルス代表の座を掴み取った。
「2年間で一緒に食事をしたのは1回だけ」
プライベートコーチになって約2年になる邱と石川の師弟関係は、実はあまり詳しく知られていない。指導中の選手について語ることを邱が好まないためだ。だが、今回はNumber最新号の石川佳純の記事のため、邱に単独取材をする機会を得ることができた。
2人の関係は思いのほかドライだ。邱はこう話す。