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「後悔などあろうはずが」イチロー・藤沢周平の言葉と菊池雄星の自問自答 15歳で出会った“恩師”からの「まっすぐ立つ」の教えとは 

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塩畑大輔

塩畑大輔Daisuke Shiohata

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photograph byKyodo News

posted2021/07/15 17:02

「後悔などあろうはずが」イチロー・藤沢周平の言葉と菊池雄星の自問自答 15歳で出会った“恩師”からの「まっすぐ立つ」の教えとは<Number Web> photograph by Kyodo News

2021年オールスターの舞台を味わった菊池雄星。地道な取り組みが実っていた

 真っ先に菊池の潜在能力に着目し、高校1年生当時からあらゆる登板機会を追い続けてもらっていた。高卒時にはドジャースへの入団オファーを寄せられることにもなる。まだ15歳、高校1年生の菊池に、彼はこう言っていた。

「君は頑張れば、必ずメジャーリーグのオールスターに出られる」

 確信をも超え、断言のように響いたのを思い出す。なぜ長年、こんな大事な言葉を記憶の片隅においやってしまっていたのだろうのか。後悔に後悔を重ねるわけにはいかない。15年越しだが、あの言葉に応えたい。「オールスターを目指します」と伝えようと考えた。

 そうしなくては、本気で目指すことにはならない。そんな気がした。

 2020年12月。

 菊池は渡米後初めて、小島さんと会った。小島さんも菊池を待っていたのかもしれない。あいさつもそこそこに、こう言った。

「雄星、まっすぐ立ててないよ」

シューズの中で、足裏がちょっと傾いていなかったか?

 ちょっとシャドーピッチングをしてみようか――すぐにアドバイスが始まった。ポイントは軸足一本で立った時の姿勢について、だった。

「まっすぐ立てたと思ったら、投げに行ってみて」。そう指示された。

 菊池も軸足での立ち方については、メジャー移籍前からかなりこだわってきたつもりだった。自分なりにまっすぐ立った感触を得て、一気に腕を振った。

「違うな」

 どうですか? と問う余地もなかった。

「シューズの中で、足裏がちょっと傾いていなかったか?」

 逆にそう聞かれた。言われてみれば、そうかもしれない。なぜ一見しただけで、シューズの中の足裏の動きまで分かるのか……。

「長い間、ずっと見てきているから」。小島さんはそう言って笑った。

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