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“暗黒時代到来”の酷評から34戦無敗でEURO優勝… イタリアと“栄光に無縁だった”マンチーニ監督&ビアッリのリベンジ劇 

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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photograph byKaz Photography/Getty Images

posted2021/07/12 17:03

“暗黒時代到来”の酷評から34戦無敗でEURO優勝… イタリアと“栄光に無縁だった”マンチーニ監督&ビアッリのリベンジ劇<Number Web> photograph by Kaz Photography/Getty Images

勝負所と逆境に恐ろしく強い。世界のサッカーファン誰もが知るアッズーリの姿がついに戻った

 試合後の会見で、マンチーニ監督はいつも通りに集団の力を強調したが、守護神について訊かれると、「ドンナルンマのようなGKがいてくれて本当に幸運だ。今夜のPK戦でも何本か止めてくれると確信していたよ。彼は世界一のGKだから」と称えた。

マンチーニは補佐のビアッリとともに歓喜した

 この56歳の指揮官は現役時代、華やかなMFとして鳴らしたが、代表の栄光とは無縁だった。優勝を告げる笛が鳴った時に流した涙の理由には、そんなこともあったのだろうか。

「ここウェンブリーでは30年前にも泣いたよ」と指揮官はサンプドリア時代に経験したヨーロピアンカップ(チャンピオンズリーグの前身)決勝の敗北に触れ、笑顔を見せた。それはこのチームの補佐に招いたジャンルカ・ビアッリと共に、現役時代に味わった悔しさでもある。

「でも今夜は、信じられないほどに素晴らしい偉業を達成し、感情が溢れたんだ。選手やファンが喜ぶ姿を見て、エモーショナルになったんだ。この3年間、特に過去50日が大変だった。私たちはその間に、見事なチームスピリットを築いた。今回の優勝は今後、この堅い結束力と共に語られることになる」

 能動的なスタイルを身につけながら、伝統の堅守と勝負強さを維持するイタリアが、見事に復活した。その根底にあったのは、中世に芸術を復興させた国に受け継がれる、人間の本質的な感性や情熱に違いない。

 

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