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10年連続出場、記者が衝撃を受けた“イチローとMLBオールスター秘話”「神様のことを僕に聞かれてもねぇ」 

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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posted2021/07/13 17:04

10年連続出場、記者が衝撃を受けた“イチローとMLBオールスター秘話”「神様のことを僕に聞かれてもねぇ」<Number Web> photograph by Getty Images

新人時代から10年連続で、MLBオールスター出場を果たしているイチロー

衝撃のランニングホームラン

 そんな中、ワンマンショーは始まった。甲高い音とともに放たれる打球は高い放物線を描き、そのほとんどが右翼スタンドへ吸い込まれる。2階席にまで飛んでいく特大弾も連発した。公式戦でのパフォーマンスとはまるで違う姿にファンは度肝を抜かれ、鳩が豆鉄砲を食ったような表情を見せていた。どよめくスタンドをよそにイチローさんは実に楽しそう。イチローさんらしい、ファンへの恩返しだった。

 本番での強烈な印象は、07年にサンフランシスコで行われた78回目の球宴だ。

「1番・中堅」で出場し、3打数3安打1本塁打。MLB球宴史上初のランニングホームランでMVPとなった。

 AT&Tパーク(当時の球場名)は右翼フェンスの形状が歪でクッションボールの処理が難しいことで知られている。5回にイチローさんが放った右中間最深部のフェンスを直撃した打球は思いもよらぬ右翼ポール方向へ跳ねた。右翼手ケン・グリフィーJr.も対応できずイチローさんは悠々とホームを駆け抜けた。

 試合後、イチローさんに聞いた。

「あんな打球の跳ね方は想像もつかない。野球の神様が微笑んだんでしょうか?」

 イチローさんは笑い飛ばしながら答えた。

「神様のことを僕に聞かれてもねぇ。神様のことは神様に聞いてくださいよ(笑)」

 ランニングホームランは意外にも自身初。それが夢の球宴。しかもMVP。野球の神様は微笑んだ。

突然やってきた“超絶VIP”にイチローもびっくり

 09年のオールスターでは、もうひとつ忘れられないシーンがある。試合前のクラブハウスでのことだ。

【次ページ】 実現寸前まで行った“幻のホームランダービー出場”

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