廣中はラスト、苦しみながらもトップでフィニッシュした。

「最後2周、苦しい走りになった時にうしろのことが気になりました。ちょっと硬くなってしまい、そこからのもがき方がまだまだ足りないと感じましたし、世界でこういう走りをしていたら通用しない。ラスト2000mからのスパートはまだ戦えるレベルになっていないなと思ったので、これから五輪本番まで1カ月、自分を磨きながら頑張っていきたい」

　レース後、かぶっていたキャップを取り、2位の新谷と抱き合い、健闘を称え合った。これまで廣中のトレードマークになっていたキャップは、ロゴ入りのために五輪では使用が不可になる。中学の時からルーティンになっているが、五輪ではどんなキャップをかぶって出場し、これから1カ月でどんな成長をみせてくれるのか。

レース後に抱き合う新谷と廣中　©AFLO

「10000mはスタミナ勝負。ラストで勝負できるスタミナを5000mで練習しながら少しずつ積めているのかなと思いますが、最後までしっかり修正していきたいです。5000mは、10000mでのスタミナを兼ね備え、ラストのスピードが重要になってくるので、もう1段階上げられるようにしていきたいです。これからしっかり準備をして、故障なく、笑顔でスタートラインに立てるようにやっていきたい」

　廣中は、笑顔でそう語った。伸び盛りの20歳の成長は想像がつかないだけに、2種目での挑戦は楽しみしかない。

東京五輪、日本の女子長距離はどうなる？

　今回、日本選手権女子5000m初優勝の廣中、そして棄権寸前まで追い込まれつつ諦めずに走り抜いて5000mの出場権を勝ち取った新谷。東京五輪では、ここに田中が加わる。

　日本の女子長距離界の精鋭3人が出場する5000m、そして新谷と廣中、安藤友香が出場する10000m。いずれも世界との差が大きいが、彼女たちならきっと日本人の胸を熱くするレースを見せてくれるはずだ。