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ロマチェンコ戦に中谷正義の“勝ち目”はあるか 中量級日本人ボクサーが圧倒的不利の海外オッズを覆しうる要素
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byNaoki Fukuda
posted2021/06/26 17:03
中谷正義はロマチェンコとの試合に挑む。日本人ボクサーが中量級でも強いことを世界に示す一戦になるかもしれない
海外ファンの関心はロマチェンコの復調と次の対戦相手
それを百も承知の中谷は「遠くで戦おうとすればするほど中に入りやすくはなると思うので、ときには自分からプレスをかけたい。それもある意味体の大きさをいかすことにつながると思う」と話す。ようはロマチェンコ相手に理想的なプランを続けられるはずはなく、プランB、プランCを周到に用意しているということだろう。
私たちが中谷に大きな期待を寄せるのとは裏腹に、海外オッズメーカーの出しているオッズはだいたい9-1から7-1でロマチェンコの有利。ロマチェンコがどれだけ復調しているのか、中谷戦をステップに次はだれと対戦するのか。それが海外の関係者、ファンの関心であることは認めざるを得ない。
日本ボクシングの歴史を塗り替えるかもしれない
だからこそ中谷なのだ。この試合に勝ち、日本人選手が中量級でも世界で活躍できるところを見せてほしい。そもそも中谷は19年のロペス戦で敗れはしたものの、「スコア(119-109、118-110×2)ほどの差はなかった。ロペスを苦しめた」との評価を得た。さらに昨年12月、スター候補のフェリックス・ベルデホ(プエルトリコ)の相手に抜擢され、劇的な逆転KO勝ちでその存在をアメリカのファンに知らしめた。恵まれた体格だけでなく、分析力と度胸の良さもこのボクサーの持ち味だ。不利予想を克服できるだけの要素を中谷は持っている。
近年は“モンスター”井上尚弥(大橋)の活躍もあり、一昔前と比べると日本人ボクサーの株は海外でグッと上がっている。ただし、それは主に軽量級の話であり、もし中谷が勝利するようであれば「中量級だって日本人ボクサーは強い」ということを印象づけられる。世界のボクシング地図を、日本ボクシングの歴史を塗り替えるかもしれない一戦にぜひとも注目したい。