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ロマチェンコ戦に中谷正義の“勝ち目”はあるか 中量級日本人ボクサーが圧倒的不利の海外オッズを覆しうる要素
posted2021/06/26 17:03
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph by
Naoki Fukuda
ライト級の注目マッチが26日(日本時間27日)、米ラスベガスのヴァージンホテルズ・ラスベガスで行われる。米大手プロモーション、トップランク主催興行のメインイベントは、元ライト級3冠王者のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)と元東洋太平洋同級王者の中谷正義(帝拳)による12回戦だ。ボクシングファン以外にも注目してほしい一戦の見どころを紹介したい。
なぜ世界タイトルマッチでもない試合が注目されるの? そう思う人たちに納得してもらうのは簡単ではないかもしれないが、チャレンジしたいと思う。まず押さえたいポイントは、ロマチェンコが現役選手を代表する世界最高峰のボクサーであること、そしてライト級という階級が長い伝統を誇り、世界的に最も層の厚いクラスの一つであることだ。
「世界にはヘビーとライトの2つしかなかったんです!」
ロマチェンコはハイテクやマトリックスというニックネームを持つ33歳のウクライナ人で、彼が世界最先端の技術を持つボクサーであることに異論をはさむ専門家はまずいない。変幻自在のフットワーク、あらゆるアングルから的確に放つパンチ。もともとオリンピックの2大会連続金メダリストであり、アマチュアでの戦績は396勝1敗という脅威的なもの。戦績は諸説あるとはいえ、べらぼうに強かったことは間違いのない事実だ。
プロでは14勝(10KO)2敗と二つの黒星を喫しているが、フェザー級からライト級まで3階級制覇を達成し、その珠玉のパフォーマンスは長いボクシングの歴史においても特筆に値すると言えるだろう。
ライト級のブランド力は、WBA世界ミドル級チャンピオンにしてボクシングマニアを自称する村田諒太の言葉を借りて説明したい。「ライト級ですよ! もともと世界には重い(ヘビー)と軽い(ライト)の2つしかなかったんです!」。WOWOWのボクシング番組で村田はこう説明していた。