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飛び級招集、西川周作とのレッズ守護神争い…末恐ろしい18歳GK鈴木彩艶の武器とは?「自分がされて嬉しいことを人にしていきたい」
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byGetty Images
posted2021/06/27 11:04
浦和での出場機会を掴み、東京五輪の最終選考に名乗りを上げた鈴木彩艶(18歳)。バックアップメンバーとして、最善を尽くすことを誓った
ガーナ人の父と日本人の母を持つ鈴木は、アメリカで生を受けると、まもなく日本での生活がスタート。サッカーを始めた小学生の頃から並外れた身体能力とバネを生かし、GKとしての人生も始まった。
身体能力だけではない。動体視力の良さと重心移動のスムーズさは中学生になると目を見張るものがあった。
GKに限らず、身体能力に長けるダブルの選手や長身の選手は、成長途中での身体操作に苦心する傾向がある。手と足の動かし方にぎこちなさが残るケースは多々あり、以前の取材でDFアピアタウィア久(ベガルタ仙台)も当時の苦労を赤裸々に語ってくれたことがあった。その分、いわば遅咲きが多い。だが、鈴木の場合はその高い潜在能力を中学、高校時代から見事に使いこなしていた。
その証拠が、彼の経歴にしっかりと刻まれている。
飛び級、飛び級、飛び級
2017年U-17W杯(インド)に、東京五輪メンバーに選出された谷晃生(湘南ベルマーレ)、梅田透吾(ファジアーノ岡山)に次ぐ、第3GKとして15歳で選出。2年後のU-20W杯(ポーランド)では、守護神候補だった大迫敬介(サンフレッチェ広島)がA代表に招集されたことを受け、若原智哉(京都サンガ)、茂木秀(町田ゼルビア)に次ぐ存在として16歳で抜擢。今回の東京五輪チームと同様に、両世代の指揮官から大きな期待を受けての招集だった。
「将来的に日本を代表する守護神になれる存在。早いうちから経験を積ませたい」(17年U-17日本代表・森山佳郎監督)
「彼にはもっと世界の経験を積んでもらいたい。それだけの選手」(19年U-20日本代表・影山雅永監督)
さらに筆者が期待を抱く部分は、GKとしての能力だけでなく、国際大会の舞台で「第3GK」という難しい立場を経験していることだ。