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メッシが「W杯に出られない怖さ」を感じた日 バルサでの栄光と“アルゼンチンでは無冠”という重荷【34歳に】 

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posted2021/06/24 17:00

メッシが「W杯に出られない怖さ」を感じた日 バルサでの栄光と“アルゼンチンでは無冠”という重荷【34歳に】<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

それぞれ2010年W杯アルゼンチン代表、2006年バルサのメッシ。不世出の天才は34歳の今もなおサッカー界の頂点にいる

 グアルディオラ体制で確立したポゼッションと、メッシ、スアレス、ネイマールの「MSNトリオ」の決定力が融合しての偉業を、普段は謙虚なイニエスタも誇りたくなったのだろう。

 ともにカンテラ出身のイニエスタからのパスを受けたメッシが仕留める――何度も見てきたバルサの必殺パターンだったが、2人の天才の存在が、2010年代のフットボールを輝かせたことは確かである。

メッシが「怖さ」を感じた瞬間とは

<名言3>
もちろんプレッシャーはあったし、怖さはあったよ。
(リオネル・メッシ/Number940号 2017年11月22日発売)

◇解説◇
 ここ近年、アルゼンチン代表のW杯での結果は決して輝かしいものではない。例えばロシアW杯である。

 南米予選最終節でエクアドルに勝利し、ロシア行きの切符を手に入れたのだが、それまでの5試合ではPKと敵のオウンゴール以外では得点を挙げていないという深刻な決定力不足に陥っていたのだ。

 しかも、エクアドルに勝利しても、ダイレクトに予選突破できるかどうかは他国の結果次第という状況。国内では「良くてもプレーオフ」という予想が大勢を占めていたという。暗雲立ちこめる情勢に、選手たちも大きな不安を抱えていた。あのメッシでさえも恐怖心と戦っていたのである。

 ギリギリで予選通過したアルゼンチンだったが、本大会でもメッシのPK失敗によってアイスランドに1-1の引き分けを喫し、続くクロアチア相手に0-3の完敗。グループステージ最終戦のナイジェリア戦ではメッシの先制点などで2-1で勝利し、何とか決勝トーナメントに進出した。

 しかし決勝トーナメント1回戦、フランス戦ではムバッペ、グリーズマンら新世代の台頭著しいフランスに3-4と敗戦。メッシもアグエロへのアシストなどで意地を見せたが、またしても代表での国際タイトルを逃す形となってしまった。

<名言4>
僕はまだ飢えている。成し遂げるべき目的、満たすべき空虚が、まだ僕の中にはある。
(リオネル・メッシ/Number821号 2013年1月24日発売)

◇解説◇
 2012年のFIFAバロンドールを受賞したときのコメント。25歳の若さにして4年連続4回目の受賞となったが、「まだ飢えている」と決して満足していない様子をうかがわせた。

 そのメンタルは9年を経た今でも変わっていない。昨夏にはバルサから退団する意思を示して世界を驚かせたものの、結局残留。チームはスペイン国王杯のタイトルのみに終わったが、ラ・リーガでは35試合30得点で“いつも通り”のピチーチ(得点王)を獲得した。

 バルサで、チームとしても個人としてもメッシが数々のタイトルと栄光を手にしてきたのはご存じの通り。その一方でアルゼンチン代表では――。

【次ページ】 手にしたのは「北京五輪の金メダル」だけ

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