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レッドブル・ホンダがメルセデスをねじ伏せ、30年ぶりの3連勝! ライバルに新エンジンと勘違いさせた速さの秘密とは
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2021/06/24 06:01
2ストップ作戦が的中したフェルスタッペンは、メルセデスをコース上で抜き去って勝利。強さをまざまざと見せつけた
ポール・リカール入りした田辺TDは、予選とレースに向け、こう抱負を語っていた。
「強いところは伸ばし、弱いところは引き上げるよう対応していきたい」
これはレッドブル・ホンダとして、パートナーの足りない部分を責めるのではなく、その弱点を補うためにはどうすればいいのかをチームとして考える、ということを示唆していたのではないだろうか。もちろん、ホンダのPUが今年大きく進化したことは事実だが、レッドブル・ホンダが連勝できるようになった理由はそれだけではない。
勝利に欠かせない一体感
ホンダの山本雅史マネージングディレクターは、表彰式でこんなエピソードがあったことを教えてくれた。
「今日すごくうれしかったのは、レッドブルのGP(ジャンピエロ・ランビアーセの愛称/フェルスタッペンの担当レースエンジニア)が、レッドブル・ホンダを代表して表彰台に上がったとき、左胸にあるホンダのHマークを右手の親指で示してくれたことです。表彰式の後、チームと一緒に記念撮影をするとき、GPに『ホンダのHマークを指差していたよね』って言ったら、『そうそう』って言っていました。今週末からのオーストリアでの2連戦は、レッドブルのホームコースでの開催。昨年はうまくいかなかったので、今年はなんとか(優勝した)19年みたいな流れを作りたいと思っています」
この一体感こそが、いまのレッドブル・ホンダの強さだといってもいい。
フランスGPでポール・トゥ・ウィンを飾り、今シーズン4勝目、第5戦モナコGPから3連勝を飾ったホンダにとって、F1での3連勝以上は、91年以来、30年ぶりのこと。30年前の3連勝はマクラーレン・ホンダ時代で、アイルトン・セナが開幕から連勝を重ね、モナコGPまで4連勝した。
レッドブルにとっても3連勝は2013年以来、8年ぶり。さらに、2014年に始まったハイブリット・エンジンを使用したパワーユニット時代で、メルセデスが単独チームに3連敗を喫し、かつ両チャンピオンシップでリードを許したのは初めてのことだ。
もうハミルトンにジョークを飛ばす余裕はない。