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戦力外通告からの栄光…アゼルバイジャンGPで表彰台に上ったペレス、ベッテル、ガスリーそれぞれの、F1人生浪花節

posted2021/06/11 17:00

 
戦力外通告からの栄光…アゼルバイジャンGPで表彰台に上ったペレス、ベッテル、ガスリーそれぞれの、F1人生浪花節<Number Web> photograph by Getty Images

苦労人ばかりが並んだアゼルバイジャンGPの表彰台。左から2位ベッテル、レッドブルの技術責任者ピエール・ワシェ、1位のペレス、3位のガスリー

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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 F1の神様は、ときどき粋な演出をする。6月6日に行われた第6戦アゼルバイジャンGPでも、レース終盤の波乱の果てに意外な3人が表彰台に上がるドラマがあった。

 レース終盤、トップを走行していたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がタイヤトラブルによってクラッシュし、リタイア。赤旗中断後に2周だけのスプリントレースが行われたが、その再スタートで2番手スタートしたルイス・ハミルトン(メルセデス)がブレーキの設定ミスから1コーナーで止まり切れず、オーバーランして優勝争いから脱落。

 フェルスタッペン、ハミルトンというタイトル争いを繰り広げている2人が優勝争いから姿を消したレースで、表彰台に上がったのは、セルジオ・ペレス(レッドブル)、セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)、ピエール・ガスリー(アルファタウリ)だった。彼ら3人に共通していたのは、いずれも直前に所属していたチームから戦力外通告を受けた経験を持つドライバーだということだ。

 3位でチェッカーフラッグを受けたガスリーは、17年にアルファタウリの前身であるトロロッソからF1にデビュー。19年に姉妹チームで、2010年から4連覇を達成したトップチームのレッドブルに昇格した。優勝争いが期待されたが、なかなか思うような走りができず、シーズン半ばにトロロッソのアレクサンダー・アルボンと交代を告げられるという苦い経験の持ち主だ。

屈辱の降格で得た成長

 しかし、その経験がガスリーを成長させた。赤旗によって波乱の展開となった昨年のイタリアGPでは見事、初優勝を達成。この日のアゼルバイジャンGPでも、レース中は厳しい状況に直面していた。

「ストレートではパワーが落ちて、最後まで厳しい走りだった」と言うガスリーは、ホンダのエンジニアからの指示を聞きながら、ステアリング上のスイッチを変更しながらのレースをしていた。その戦いは赤旗中断後の4番手からの再スタート後も続いていた。

「僕たちのパフォーマンスが落ちていたから、再スタート後のストレートで抜かれるんじゃないかと思ったけど、目の前に表彰台が見えていたから全力を尽くした。大変だったけど、フェアなレーシングだった」というガスリーは、カート時代からのライバルだったシャルル・ルクレール(フェラーリ)の猛追を抑えて、見事3位表彰台を獲得した。

【次ページ】 元王者がもたらしたチーム初の表彰台

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