球体とリズムBACK NUMBER

EUROで「観衆5万5662人」ハンガリーが“満員OKな理由” ワクチン接種率の高さと…【クリロナはプラティニ超え弾】 

text by

井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2021/06/19 17:01

EUROで「観衆5万5662人」ハンガリーが“満員OKな理由” ワクチン接種率の高さと…【クリロナはプラティニ超え弾】<Number Web> photograph by Getty Images

C・ロナウドのゴールでハンガリーサポーターが沈黙したスタジアム。UEFAの公式記録によると観衆は「5万5662人」だった

10万人当たりの死者数ではペルーに次いで多いが

 ハンガリー国民がEURO2020の試合をプシュカシュ・アリーナで観戦するには、ワクチン接種の証明が必要になり、国外からのサポーターはPCR検査の陰性証明が必須。また各チケットには入場時間枠が記載され、それぞれが当該時間内に入場することで、密集が避けられるように配慮されているという(米『ジ・アスレティック』より)。入場の際にはマスク着用が義務づけられているが、自分の席に着いたら外していいようだ。

 米『CNN』の統計では、ハンガリーの新型コロナによる10万人あたりの死者数は、世界最多のペルーの次点だ。にもかかわらず、スタジアムに大勢のファンを入れているのは、首相が来年に控える選挙を考慮しているからだと見る向きもある。実際、スタンドに集まった人々は、皆一様に楽しそうだ。

 また対外的なイメージアップにも繋がり、ここにも独裁的な指導者によるスポーツウォッシングの意図が見え隠れする。いずれにせよ、グループF最終戦の大一番、フランス対ポルトガル──世界王者と欧州覇者の激突だ──を含め、あと3試合がこのスタイリッシュな会場で行われる。きっと多くの観客が、目前のハイレベルな対戦を楽しむことだろう。

 ちなみに、東京五輪も観客を入れる方向で調整を進めているという。ハンガリーでのEURO2020を参考にできればいいが、ワクチンの普及率が大きく異なるため、この国では別の方法を模索するしかなさそうだ。

EUROで輝いたブラジル出身の名選手編も関連記事からもご覧になれます>

関連記事

BACK 1 2 3
クリスティアーノ・ロナウド

海外サッカーの前後の記事

ページトップ