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「勝利かもしくは死を」96年目で初の降格危機…チリの名門コロコロの“商業主義”が招いた低迷とサポーターの過剰な愛憎
text by
ブラディミール・クレセンゾVladimir Crescenzo
photograph byL’Équipe
posted2021/06/16 17:00
負ければ史上初の2部リーグ降格となるプレーオフで、コロコロはウニベルシダード・デ・コンセプシオンに1−0で勝利し降格を回避した
成績が振るわなかったのは、そうしたベテランたちに頼らざるを得なかったからだった。8人が33歳を超えており、クラブ史上第3位となる200ゴールを記録したエステバン・パレデスは40歳であった。そのパレデスが、シーズン終了後に電話1本で解雇を告げられたことも、サポーターの怒りをかきたてた。それはひとつの見せしめであり、コロコロというクラブを象徴する存在を貶める行為以外の何ものでもなかったからだ。
家庭内暴力で告発されたミッドフィルダーのレオナルド・バレンシアに対しても、ByNの対応は適切とはいえなかった。
「彼の解雇をインターネットを通じて求めたし、執行部に手紙を送って圧力をかけた」と、コロコロのフェミニスト組織のひとつであるコレクティボ・ヤネクエオは説明する。だがスキャンダルが選手たちの緊張を高めたにせよ、アンチファシスタスがコロコロに幻想を抱くには至らなかった。
「ByNはコロコロというクラブの純粋さを損なっている。彼らがバレンシアを罰することはまずないだろう」と、ビエルマは述べている。
クラブ執行部を目指すサポーターの情熱
ソシオは袋小路に迷い込んでいる。
「執行部の行いが不適切なとき、以前は4年ごとの会長選挙でそれを正すことができた。だが、今は、たくさんの金を持つものがすべてを決めている」と、ドロゲットは嘆く。
クラブに資金を提供するByNの執行部を構成する9人の役員のうち、クラブが任命するのは2人だけであり、残る7人は持ち株の多寡により株主から決められ、クラブ側は常に少数派に追いやられている。この状況を覆すために、2020年11月に設立された協同組合組織であるレキュペレモス・コロコロは、執行部に入り込むために株式の買収に取りかかった。
「15%の株を集めることができたら、執行部にひとり送り込める」と、代表を務めるエリアス・バレンスエラは見通しを語る。
「理想を言えば、株の100%をサポーターが所有すれば、株主ではなくクラブのためにスポーツ面での決定ができる」