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「勝利かもしくは死を」96年目で初の降格危機…チリの名門コロコロの“商業主義”が招いた低迷とサポーターの過剰な愛憎
text by
ブラディミール・クレセンゾVladimir Crescenzo
photograph byL’Équipe
posted2021/06/16 17:00
負ければ史上初の2部リーグ降格となるプレーオフで、コロコロはウニベルシダード・デ・コンセプシオンに1−0で勝利し降格を回避した
非営利団体として2020年8月に結成されたコロコロ・デ・トドスも、クラブ運営のイニシアチブを取ろうとしている。
「コロコリノス(コロコロのサポーター)はチリ全土に700万人いる。彼らがそれぞれ5000ペソ(約764円)を拠出すれば、すべての株を買収してクラブを救うことができる。現実的には不可能だが、その方向でクラブを支えていくことはできる」とドロゲットは語る。
100%の株を集めるのは、市場の現実を踏まえればまずあり得ない。
「株主が売りたがらなければ株は買えない。だが15%ならば、中期的な目標として十分に達成可能だ」とバレンスエラは語る。
サポーターと『株式会社』、それぞれの論理
クラブをサポーターの手にという考えは、クラブのレジェンドたち――そのうちのひとりが、1991年コパ・リベルタドーレスの覇者であるマルセロ・バルティショットである――も賛意を示している。
だが、レキュペレモス・コロコロが手を打つ間にも、クラブは新たな事態を迎えようとしている。4月に株主総会が開かれて、ByNの新社長が選ばれる。先ごろコロコロ会長とコロコロ・デ・トドスは、この選挙に統一候補を立てることで合意した。その候補者とはバルティショットである。ByN側の7人のディレクターがこのプランを支持するかどうかはわからない。だが、確実なことなど何もないのである。
(註:4月の選挙で新たに社長に選ばれたのは、バルティショットではなくByN側の推すエドムンド・バジャダレスだった)