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ラグビー元日本代表・山田章仁はなぜアメリカに? 今年で36歳「ようやく研修が終わった」の真意とは【過去には二刀流も】
posted2021/06/09 06:00
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
Akihito Yamada
2021年6月6日。ラグビー日本代表で、2015年W杯など25キャップを持つWTB山田章仁(NTTコム)が、アメリカのメジャーリーグラグビー(MLR)にデビューした。
山田が加わったのはアメリカ西海岸、シアトルを本拠地とするシアトル・シーウルブズ。2018年にスタートしたMLRで、18年、19年と連覇を飾った全米チャンピオンチームだ。
山田はシアトルのFBで先発し、最後尾でのキック処理、陣地を取るタッチキックから最前線のタックル、ブレイクダウン、ときにはFWの密集にも果敢に参加。トライこそ挙げられなかったが、前半17分と後半10分にはゴールライン目前で味方のトライをアシストするなど80分間フル出場を果たした。
もっとも、チームは一時13点差をつけながら反撃され、後半ロスタイムに6点差をひっくり返され28-29で逆転負け。
それでも山田は試合後に行われたオンラインのメディアセッションで笑顔をみせた。
「久しぶりの試合で楽しかった。残念ながら逆転負けしてしまいましたが、アメリカという、スポーツの楽しみ方を知っている人たちがたくさんいる、このいい環境でラグビーをさせていただけた。幸運だったなと感じる開幕戦でした」
合流5日目、“FB”で先発フル出場
山田がシアトルと契約を交わしたのは今年4月。山田は今季のトップリーグには出場しなかったが、コロナ禍の影響もあってビザがなかなか発給されず、渡米できたのはトップリーグのシーズンが終了後の5月下旬。3月20日に開幕したMLRはすでにレギュラーシーズン16節のうち9節が終了していたが、山田は6月1日にチーム練習に合流すると、チームメートとの初対面からわずか5日で行われたホームのユタ・ウォリアーズ戦で先発フル出場を果たしたのだ。
山田はシアトルに到着するとすぐ、監督のアレン・クラークと面談した。アレンは「FBにチャレンジしてほしい」と切り出した。山田は「ぜひやらせてください」と即答した。
日本代表でもトップリーグでもWTBで活躍している印象が強い山田だが、小倉高校時代はSO、慶大時代はSOもFBも経験した。もちろんWTBの方が慣れてはいるが、まずは試合に出ることだと山田は思った。
「合流して何日かは様子をうかがうとか、一番やりたいのはどこかとか、ふんわりした感じでいくと、それだけで2日、3日と時間が経ってしまう。そうならないよう最初から積極的にコミュニケーションをとっていきました。チームメイトの名前もしっかり覚えるよう予習したし、最初からギア全開で(笑)」
それは試合でのパフォーマンスにも表れていた。