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引退どころかカタールW杯出場へ意欲 超人ブッフォン43歳が残した数々の伝説と“あるある”
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2021/06/02 17:00
今季限りでユベントスを退団するブッフォン。様々な話題振りまく43歳のGKはこれからどこへ向かうのか。
まさかの代表復帰にまで色気を見せ始めた
コッパ優勝の後、国営放送のインタビュー中にブッフォンは国内外から多くのオファーが届いていると、改めて明かした。
報道されたチームの中で、ブッフォンが興味を持っているのでは、と言われているのがセリエBのモンツァだ。
ミランの黄金時代を築き上げた帝王ベルルスコーニと、その参謀ガッリアーニが18年に買収したモンツァは、今季のプレーオフ準決勝で敗れ昇格に失敗した。
とはいえ、カルチョ界の名フィクサーであるCEOガッリアーニが「監督にフィリッポ・インザーギ、守護神にブッフォンという陣容で来季再びA昇格を目指す」とぶち上げているなど、鼻息は荒い(監督は前クロトーネのストロッパ就任となったが)。
国営放送のインタビューは続けて、カタールW杯出場への意欲を質した。ブッフォンはやはり「代表の重荷になりたくない」として、3年前の親善試合アルゼンチン戦を最後にアッズーリと袂を分かっている。
ところが鉄人は「(大会期間の)2022年12月に自分のコンディションがどうかによるね」と仰天の答えを口にし、まさかの代表復帰にまで色気を見せ始めた。実現すれば世界記録となる6度目のW杯出場だが、こちらは開いた口が塞がらない。
「あの代表引退の涙はいったい何だったんだ。感動を返せ」とぼやいても、当の本人は、そのときどきに感じたまま、本音を話しているだけに過ぎず、前言を翻したとか男らしくないだとかなんて微塵も思っちゃいないだろう。
もしかすると、世界中に数多いる若いGKたちはブッフォンを目標にしない方がいいのかもしれない。技術面はともかく、彼のパーソナリティの部分まではとても模倣できない。ブッフォンは規格外すぎる。
ユベントスはSNSアカウントに20年の万感を込め、去りゆくブッフォンを「The GOAT (Greatest of all time) keeper」と評して送り出した。
ジャンルイジ・ブッフォンこそは、至高にしてオンリーワンのGKだ。