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野球少年だった小野寺太志がバレー歴4年で日本代表へ…“奇跡の2m”が急成長したフィリップ・ブランとの会話とは?
 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byTakahisa Hirano

posted2021/05/31 17:00

野球少年だった小野寺太志がバレー歴4年で日本代表へ…“奇跡の2m”が急成長したフィリップ・ブランとの会話とは?<Number Web> photograph by Takahisa Hirano

ミドルブロッカーとして日本代表での地位を確固たるものにしつつある小野寺太志

 翌日の対戦相手を見る時ならば、データに基づきローテーションごとの攻撃パターンを含め、相手を見ることはある。だが、終えた試合をチェックする際は、何が良くて、何が悪かったか、常に自分のプレーを振り返っていた。

 しかし、それでは「本質」は見えない。ブランコーチ、伊藤健士アナリストと共に映像を見ながら、この状況ならセッターはライト、ここにパスが返ればレフトに上げる、と1つ1つ説明を受ける。ブランコーチとの何気ない時間が、小野寺がミドルブロッカーとして大きく飛躍するきっかけとなった。

「それまではトスが上がったところに行って跳ぶだけで、何も考えていませんでした。でもブランに『自分じゃなくて相手を見ろ』と言われて、こういう見方をしているからみんなブロックができるんだ、と初めて気付いたんです。

 このローテはこういう攻撃が多いとか、シンプルなデータはあっても、試合中になると自然にクセが出る。映像を見ればセッターの特徴、スパイカーの目線、身体の向き、いろんな情報があって、それをすべてかみ合わせて考えればこうなる、という答えがあることを、その時初めて知って、すごく面白くて。

 実際、その後のワールドカップでもその考え方に基づいて分析、プレーをしたら面白いぐらい当てはまった。ブロックの楽しさ、本質を知ってから、プレーも考え方も一気に変わりました」

 ワールドカップでは11試合中9戦スタメン出場を果たし、Vリーグでもスパイク賞、ブロック賞を同時に受賞し、名実共に日本を代表するミドルブロッカーへと成長を遂げた。

小野寺に芽生える自覚と自信

 現在行われているネーションズリーグは東京五輪を見据えた国際試合であると同時に、五輪本番の12名を争う熾烈なサバイバルの場。3、4番手だった頃、もっとさかのぼればアウトサイドヒッターに挑戦したシーズンは「出る機会があれば頑張りたい」と笑顔で答えるにとどまったが、今は違う。

「まだまだ伸びると思うんです。世界に対してはもちろん、代表でも普段は仲間ですけど、全員がライバルなのでそこに勝って行かないといけない。今は誰にも負けないと思っているし、負けない自信があります」

 現在進行形で、今なお伸び盛り。真の“奇跡”を起こすのは、これからだ。

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