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記録で見る日米球界「ノーヒットノーラン最新事情」 大リーグでの異常発生と阪神・西純矢らの“無安打降板”に浮かぶもの 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2021/05/24 17:01

記録で見る日米球界「ノーヒットノーラン最新事情」 大リーグでの異常発生と阪神・西純矢らの“無安打降板”に浮かぶもの<Number Web> photograph by Getty Images

マリナーズ戦でノーヒッターとなったタイガースのターンブル。ほどなくヤンキースのクルーバーも達成した

 与四球は最大で2、そして球数は101球~110球台。先発投手の1イニング当たりの投球数は「15球」が目安とされる。このペースで9回を投げれば135球になるが、今年のノーヒッターたちは1イニング13球以下という極めて効率的な投球をしている。

大野、千賀、菅野らNPBのノーノー内容を見てみる

 今年のNPBでは5月21日現在、ノーヒットノーランは出ていないが、直近5例のノーヒットノーランの投球内容を見ると以下のようになる。

<山口俊(巨人)2018年7月27日 中日戦>
1与四球0与死球5奪三振/103球
<菅野智之(巨人)2018年10月14日ヤクルト戦(CS)>
1与四球0与死球7奪三振/113球
<千賀滉大(ソフトバンク)2019年9月6日 ロッテ戦>
3与四球1与死球12奪三振/133球
<大野雄大(中日)2019年9月14日 阪神戦>
1与四球0与死球9奪三振/126球
<小川泰弘(ヤクルト)2020年8月15日 DeNA戦>
3与四球0与死球10奪三振/135球

 103球の山口俊、113球の菅野智之のように少ない球数で達成している例もあるが、130球前後の球数をかけて達成している例もある。NPBの場合、先発がノーヒットで終盤を迎えると記録達成のために安打を打たれるまで続投させることが多い。

 しかしMLBでは必ずしもそうではない。

MLBでは複数投手での達成も記録される

 実は、MLBでは「複数の投手によるノーヒットノーラン」も記録されるが、2019年には4投手によるものが1例、2投手が1例、2018年には4投手が1例記録されている。先発投手が被安打0のまま降板し、継投でノーヒットノーランを達成しているのだ。球数が嵩んだり与四球が多かった場合は、たとえ無安打でもマウンドを降りることもあり得るのだ。

 MLBにおいてノーヒットノーランを達成するためには、安打を打たれないだけでなく、球数少なく効率的な投球ができないといけない。少なくとも8回まで100球前後で投げることができないと、9回のマウンドに上がることは難しくなる。

 実はこの記録に対しては、NPBの価値観も変わりつつある。

【次ページ】 工藤監督と落合監督が日本シリーズで下した決断

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