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【81歳に】イチローや孫正義も魅了した、王貞治の“言葉の力”「俺、あんまり反省しないんだ」「(本塁打は)本人の中には残らない」…
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byMakoto Kenmizaki
posted2021/05/20 06:00
巨人監督時代の王貞治(1987年)
<名言3>
世界の王選手を世界の王監督にしたかった。
(イチロー/Number650号 2006年3月30日)
◇解説◇
日の丸を背負うことを決めたイチローは、並々ならぬモチベーションでWBCに臨んでいた。積極的に後輩たちとコミュニケーションを図るなど、短期間でチームを成熟させるために動く姿があった。
しかし、イチローの1次リーグでの成績は13打数3安打。期待された結果を残せず、2次リーグでもアメリカに敗れるなど、チームも後がない状況に追い込まれた。
それでもイチローは折れなかった。2005年11月にWBC出場の意思を王監督に伝えた時から、「王監督を胴上げする」という熱い思いを胸に宿してきたからだ。
「あの時の僕を支えていたのは、自分のやってきたことへのプライドと、これからやろうとしていることへの自信でした」
そんな堂々と振る舞う姿に鼓舞された日本代表は、準決勝で連敗を喫していた韓国にリベンジ。決勝ではキューバを退け、WBC初代王者に輝いた。
歓喜に沸く中、イチローは王監督から耳元でこう言われたという。
「ありがとう、君のおかげだ」
イチローは、この一言で報われた気がした、と笑顔で偉業を振り返った。
「868」の土台はラーメン?
<名言4>
食べたい時に食べたいだけ食べる。我々の時代は、これが健康法だったんだよな。
(王貞治/Number770号 2011年1月13日発売)
◇解説◇
下町の小さな中華料理店に生まれた少年時代の王は、父の作るラーメンが心の底から楽しみだった。「まだまだひもじいという思いがあった」時代の中で食に恵まれた環境を過ごし、名門・早稲田実業に入学している。
「栄養学がどうしたとか、そういう空気は感じなかった。そもそも、我々に知識がなかったし、食べることを学ぶ、なんて発想がなかったからね」
食事と猛練習で鍛え上げられた肉体は、通算868本塁打の金字塔を打ち立てる土台となった。現代のようにトレーニングやボディケアが進化していたら、と考えると恐ろしい。