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岡崎慎司“奇跡のレスター5年後”の今も絶賛の声 「予想外のヒーロー」「シンジは過小評価されている」【現地取材】
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2021/05/17 11:01
献身的なプレーが目立ったレスター時代の岡崎慎司だが、要所でゴールを陥れている
「シンジは間違いなくリーグ制覇のキーマンだ」
「シンジの最大の強みはチームへの貢献だった。利他性に富み、チームメートのために身を粉にすることができる稀有な選手だった。彼がいなければ、レスターはうまくいかなかったと思う。貴重な存在だ。
当時のレスターは、前線の高い位置にバーディーが陣取り、他の選手たちは自陣の深い位置で守備ブロックを作った。その間に入り、攻撃と守備のリンクプレーをこなしたのがシンジだった。前線と中盤以下をつなぐ重要な役割で、非常に難しい仕事だったと思う。おかげで、レスターは攻守のバランスが抜群だった。シンジは、間違いなくリーグ制覇のキーマンだ」
サンデー・タイムズ紙で岡崎への単独インタビューも行なったノースクロフト記者は「もちろん、シンジの良さは守備だけではない。ペナルティエリア内でフリーになり、ラストパスを引き出す動きは相手チームにとって脅威だった」と攻撃面も高く評価する。
その上で、「レスターのカルトヒーローだ」と褒めた。カルトヒーローとは、必ずしも華々しい主役とは限らないが、目立ちにくい貢献やハードワーク、人柄でファンに愛された隠れた名手を指す。その理由を次のように説明した。
「私の目にはオカザキは主役。脇役ではなかった」
「シンジはレスターのサポーターに非常に愛されていた。英国人は、味方のために自分を犠牲にしながらハードワークをこなす選手を愛してやまない。シンジは常に全力。ピッチを縦横無尽に走り回り、決して手を抜くことがなかった。また、試合後にスタジアムの外で待つサポーターへのファンサービスも忘れなかった。謙虚な人柄と、優しい笑顔。そして、内に秘める闘志。だから、誰からも慕われた」
レスターサポーターも、岡崎へのリスペクトを隠さない。父親に連れられスタジアムに足を運ぶようになったというアリ・フィンドレーさんは、親子2代でレスターを追い続ける生粋のサポーターだ。シーズンチケットホルダーの彼はこんな風に話していた。
「バーディーは優勝時に年間24ゴールを叩き出した。それまで無名だったストライカーがリーグ2位のゴールを奪うことができたのも、オカザキの助けがあったから。彼がいなければ成し遂げられなかったと思う。私の目にはオカザキは主役。脇役ではなかった」
さらに、サポーターのルーク・ティムスさんも「オカザキは過小評価されている」と口を揃える。